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TIM HARDIN 「スーザン・ムーアとダミオンの為の組曲」     1968

『ニュー・フォークの旗手、ティム・ハーディンが歌う生活への讃歌、
ウッドストックの自宅で録音。』

 68年、宅録にて制作された本作は、タイトル通り、
愛妻スーザンと息子ダミアンに捧げた組曲形式のアルバムでした。
嗚呼!それなのに、それなのに...。
ドラッグに手を染めてしまったティムを見限って、
スーザンは息子ダミアンの手を引いて、家を出てしまったのでありました。

 エレピなどを起用し、「ジャジーな...」という評され方をしたティムですが、
決してジャジーではなく、「電化されたフォーク」といった印象でした。
彼の、妻と子に対する計り知れない愛情はわからないでもありませんが、
特にバンド・スタイルで表現された「最後のたのしい瞬間」での
ハーモニカ、コンガ、セレスタ、トランペット、ピアノ...といった取り合わせが
面白く、原題の「Last Sweet Moments」の後に続く "of a childhood sleep" 、
「子供のような眠りの、その終わりの心地よい瞬間に」といった意味なんでしょうね。
目覚めることなくずっと夢の世界に浸っていたい...という
それこそ夢のような状況にワタシも浸ってみたいものです。

 それにしても「家族愛」を唄ったはずの本作、かなり陰鬱なんだよね。
破局をすでに予知してたのかな?