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MAHAVISHNU ORCHESTRA 「BIRDS OF FIRE」     1972


『73年、ジャズ、ロック界で最もセンセーショナルな話題を呼んでいる
マハビシュヌ・オーケストラのこのアルバムは、
君の感性深くつきささる衝撃の音宇宙を展開している!
もはや、彼らの音楽をジャズだ、ロックだと定義づける事には何の意味もない。
彼らの無限なる音宇宙の中に身を浸す事により、誰しも至上の音を体験し、
己れを火の鳥と化し天界に飛翔させ得るのだ!』

 高校1年か2年の頃、休憩時間にトイレでオシッコをしてると、
近くでオシッコしてた同級生がリターン・トゥ・フォレヴァーの
あのカモメのアルバムのA-1「Return To Forever」の不気味なイントロを
鼻歌で唄ってるではありませんか。
当時、自分のまわりで、ロックを聴くヤツはいても、
ジャズ・ロックやジャズを聴くヤツはいなかったので、
思わず「それちゃ、チック・コリアやろ?」と尋ねてしまいました。
そして「RTFもいいけど、ジョン・マクラグリンちゃ、知っとるけ?」と
聞いてしまいました。そしたらヤツは「おう、知っとるちゃ!」と言って
「火の鳥」のイントロのギターとヴァイオリンのユニゾンを唄いだしたのです。
思わず「こいつ、なかなかやるのぅ...」と、心の中で呟いてしまいました。

 今でこそ、「マクラフリン」で統一されてますが、
当時は、ロック畑では「マクラグリン」、ジャズ畑では「マクローリン」という風に
紹介されていました。
もちろん、当時はマイルス時代のマクラグリンも知らずにマハヴィシュヌを聴き狂ってましたので、
後年、マイルスのところでのレコードを聴いて、「しょうもないこと、やっとったんやなぁ。」と
呆れていました。それほど「火の鳥」のインパクトはワタシにとって大きかったのです。

 あの頃はキーボードのヤン・ハマーや、ベースのリック・レアードあたりは
まったく興味が無く、とにかくギターとヴァイオリンのユニゾン・プレイ、
そして、速射砲のごときビリー・コブハムのドラミング、これだけでぶっ飛んでましたっけ。
とにかくA-1「火の鳥」でのユニゾン・プレイ、
A-3「天界と下界を生き交う男」での掛け合い、
A-5「Thousand Island Park」でのアコギ・プレイ、
そしてB-2「聖域」、この重さは何なんだ!?
このスローなテンポでのコブハムのドラミングは素晴らしい!!
当時のそんじょそこらのロック・ドラマーではここまで表現できないでしょう。

 また不思議なことにB-3「郊外に於ける悦こび」の意外にフォーキーなイントロ、
なぜかジェイムズ・テイラーの「カントリー・ロード」あたりを連想しちゃいます。
そういえば、JTのアルバム「ONE MAN DOG」に
マクラグリン、参加してましたからね。

 とにかく、ヘナヘナのロックばっかり聴いてた耳にはかなり新鮮に聴こえたものです。
ここから、ワタシのジャズ探求(大袈裟かな?笑)が始まったわけです。

 さて、次回の「あの世へ持って行くアルバム」は
ロリー・ギャラガーの「TATTOO」を予定しています。