『「これはまさに、地球上で最高のショーだ。」・・・英デイリー・テレグラフ新聞
世界が酔いしれた一夜を、貴方へ。
孤高の天才音楽詩人による、08年の全公演完売欧州ツアーを完全パッケージ化!』
トム・ウェイツ...1949年12月7日生まれ、60歳になったところ。
日本の一般社会で例えれば、定年をむかえるオヤジの年齢です。
最近ではTVドラマの「不毛地帯」のエンディング・テーマに彼の曲が起用され、
俄かに日本でも広く認知されつつある、と言ったところでしょうか。
もちろんあの曲はトムの曲作りの大きな特徴の一つである "美メロ・バラード" であり、
美しいメロディに汚い声、といったアンバランスさが大きな魅力であるとも言えるでしょう。
ただ、他にもハードな曲や、実験的なサウンドなんかもあるわけでして、
この曲だけを気に入り、アルバムを聴いてガッカリ...なんてヒトもいるでしょうね。(笑)
さて、そんなトムが2008年に行った北米ツアーと欧州ツアーから編集されたのが本盤で、
様々な都市でのライヴを上手く繋げるように編集されており、聴き応えのあるものに
仕上がりました。
トムのライヴ・アルバムとしては75年の「娼婦たちの晩餐」や88年の「ビッグ・タイム」が
ありますが、周期的にもそろそろ出てもいいんじゃない?と思ってたところへのリリース!
もちろんブートなどで聴けるものはたくさんあるわけでして、ワタシも70年代の音源は
いくつか集めたのですが、アイランド・レーベル移籍以降(83年以降)のブートは
なかなか手を出す勇気がなかったので、本作のリリースは心から喜んでいます。
それにしても、「Singapore」などの聴き慣れた曲も、斬新なアレンジが施され、
また、バックの編成も違うため、新しい曲を聴いてるようで、二度美味しい!?
曲によってはハーモニカ(ヴィンセント・ヘンリィ)もフィーチャーされており、
アーシーな雰囲気も増したような感じで、とにかくどれもパワフル!の一語に尽きます。
長男ケーシー(23歳)がドラムス、次男サリヴァン(15歳)がサックスで参加、
基本的にはバンド編成のヴァージョンばかりで、弾き語りのパターンが少ないのが
ちょっと残念でしたが、実際のステージでは初期のナンバーの弾き語りもあったとか。
実際のステージでもオープニングで演奏された「Lucinda~Ain't Goin Down」の
マイナー・ブルーズもカッコいいし、ハーモニカもイカシテル。
DISC-1の最後の「Lucky Day」、この美メロもなにかと話題になるのかな?
エンディングのピアノのコードがオクターブで進行するのもトムの特徴ですね。
とにかく最初から最後まで吠えまくってるオヤジ、カッコイイですよ!