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大瀧詠一 「多羅尾伴内樂團・vol.1」     1977

『大瀧詠一が打ち出す新しい企画!!
多羅尾伴内樂團の哀愁さうんど第一弾!!』

 ジャケがまた面白い! 完全防寒のファッションに丸眼鏡で餅を焼いてるんですよね。
これは彼の敬愛する名プロデューサー、ジャック・ニッチェの「THE LONELY SURFER」の
パロディですね。(写真下)

 さて、このLPを買った当時はもちろん「ナイアガラ・ムーン」や
「Go!Go!ナイアガラ」などの流れを多いに期待して聴いたのですが、
「何これ!?」的な驚きと落胆が入り混じった複雑な気持ちで聴いてました。
なぜならば、唄がない、曲も書いていない、演奏にも加わっていない...
まったくプロデュースに専念したアルバムだったからです。
その上、やってることがエレキ・インスト、それもスティール・ギターの入ったやつ。
大瀧さんのレコードの中では最もターンテーブルに乗らなかったレコードでした。
しかし後年、このレコードの種明かし的な背景を知り、浅はかだった自分の無知を恥じ
悔い改める次第でした。(爆)

 60年代のスプートニクスなどのような北欧風エレキ・インストなのですが、
もちろん「さすらいのギター」や「霧のカレリア」のような北欧モノもあるんですが、
サーフィン・インストの「霧の彼方へ」やカスケーズの「悲しき北風」
そして日本の「雪やコンコン」(原題は「雪」、歌詞は"こんこん"ではなく"こんこ")
「雪の降る街を」あたりを何の違和感もなく北欧風にまとめあげるなんざぁ、
さすが大瀧師匠! 的な絶賛と敬服に意識が変わったのです。(笑)

 北欧エレキ・インストの売りは何と言っても「哀愁感」だと思うのですが、
カスタネットや鈴などを使って、いろんなジャンルの素材をみごと哀愁サウンドに
アレンジしてるところが凄い!

 「悲しき北風」には後に小林旭でヒットした「熱き心に」の、
そして「雪やコンコン」に使われた3連符のリズムは後の「君は天然色」へのプロセスとして
興味深いモノがあります。おまけにエンディングのブルーズ風のエルヴィスもどきは
大瀧師匠の得意とするところでしょう。
もっと掘り起こせば、いろんなモノが見え隠れしてくるかも...。

 さて次回の「70’s」はボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズの「ライヴ!」(1975)
を予定しています。