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SANDY DENNY 「THE NORTH STAR GRASSMAN AND THE RAVENS」     1971

 フェアポート脱退後、フォザリンゲイを結成しますが、それも解散し、
初のソロ・アルバムをレコーディングします。
面子はフォザリンゲイのメンバー全員と、フェアポート時代の盟友リチャード・トンプスンらが
中心となります。「海と私のねじれたキャンドル」とかいうワケのわからん邦題でした。

 ジャケットの写真は「コーヒー豆占い」なるものをやってる写真だそうで、
コーヒー豆を4回すくい、奇数か偶数かの組合せによって物事を占うらしいのですが...。
(紅茶占いという説もあり。英国だから紅茶のほうが妥当か?)

 結局フタを開けてみると、集まったのは解散したはずのフォザリンゲイのメンバー。
それだけなら、「フォザリンゲイ2」的な仕上りなのですが、
そこにリチャード・トンプスンをギター&プロデュースで加えたところがミソ。

 オープニングの「Late November」は自身のピアノ、ジェリー・コンウェイの
ちょっと大袈裟なドラムス、「らしさ」を発揮していないトンプスンのギター...
曲はすごくいいんだけど...。

 バート・ヤンシュが取り上げ、ジミー・ペイジに大きな影響を与えたトラッド「Blackwaterside」、
こうやって詩が乗っかったサンディのヴァージョンはどこか神聖な響きが感じられなくて。

 やっぱり極めつけはフェアポート時代にもステージで唄っていた「John The Gun」でしょう。
この曲、フェアポート時代はもっと暗いイメージを持ってたんだけど、
ここでのヴァージョンはリズムの歯切れが良いせいか、ちょっとイメージ変わりますねぇ。

 逆にブレンダ・リーの「Let's Jump The Broomstick」のカヴァー、
なぜ取り上げる必要があったのかわかりません。このあたりのR&Rのリズムは似合わねぇ。
これ、やっぱりトンプスンの趣味でしょうな。

 波の音とイアン・ホワイトマンの"フルート・オルガン"の牧歌的な音色のアンバランスさが
印象的なタイトル・チューンはサンディらしくていいですねぇ。
ヴォーカルのオーヴァー・ダブも上手く処理されており、ワタシ的には一番のトラックです。

 また、友人のリンダ・トンプスン(リチャードの奥方)を唄った「Crazy Lady Blues」、
珍しくペダル・スティールをフィーチャーしたナンバーで、
ナッシュヴィルのセッション・プレイヤー、バディ・エモンズが弾いています。

 とにかく、ケチをつけたくなるところは多々あるんだけど、
サンディの曲作りには目を見張るものがありますよ。
ただ、RTのギターはかなり控え目で、全体のバランスをよく考えてプロデュースされたものと
思われますが、もうちょっとギター暴れて欲しかったな。

 さて次回の「70’s」はジェスロ・タルの「アクアラング」(1971)を予定しています。