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加藤和彦 「パパ・ヘミングウェイ」     1979

 「ヨーロッパ三部作」の第一弾だそうです。
(実は第二弾の「うたかたのオペラ」、第三弾の「ベル・エキセントリック」は
聴いておりません。(笑))

 大昔、ラジオで聴いた「僕のおもちゃ箱」という曲が気に入って、それが入っているLPを
買いに行ったのですが、見当たらず(なんせ田舎のレコード屋さんなもんで)、
そのお店の唯一の在庫「パパ・ヘミングウェイ」を買った、といういきさつがあります。
もうかなり前にLPを処分しちゃって、今はダビングしたカセットで聴いています。

 さて、このアルバム、レコーディングはバハマのナッソー、バハマといえば、
カリブ海に浮かぶ島ですよね。(行ったことありませんが、笑)
どことなくサウンドにもカリビアンぽいところが...。
でも、唄ってる内容はヨーロッパ的、それもパリあたりのイメージ?
と思いつつ、海洋ヴァケーション風(笑)なB-1「ジョージタウン」のような曲もありで、
この無国籍チャンポン風の作風がいいですねぇ。

 重いストリングスのイントロに導かれたA-1「スモール・キャフェ」、
これ、リズム、タンゴっぽいですよね。(タンゴじゃないんだけど)
ピアソラあたりを意識したのかな?
すごく美しいメロディのA-2「メモリーズ」が続き、A-3「アドリアーナ」では、
自身のファルセット・ヴォイスでハーモニーをつけた明るめのダンサブルな曲です。

 佐藤奈々子さんのヴォーカルをフィーチャーしたB-2「レイジー・ガール」、
後年のCDリマスター盤で、佐藤奈々子さんの唄声がカットされ問題となってるようです。
(カットされたこと自体も残念ですが、
『佐藤奈々子さんがヴォーカルで加わった「Lazy Girl」云々』といった宣伝文句に
問題があったんですね。)
リミックス盤を聴いてないので、ヴォーカルなしヴァージョンは想像もつきませんが、
この「マリン・リゾートの木蔭風」のサウンドにユニゾンで唄う佐藤奈々子さんの声が
ないとしたら、多分魅力半減でしょう。
B-3「アラウンド・ザ・ワールド」にも佐藤さんのヴォーカルがフィーチャーされてますが、
本アルバムの特徴は、ハーモニー・ワークを和声ではなくすべてユニゾンで構築されてる、
という点で、タンゴっぽいけどタンゴじゃない、レゲェっぽいけどレゲェじゃない、
みたいな曲調が多い中、あえて国籍や民族、風土などを意識させないように、
ユニゾンで処理されてるんでしょうか。(というのは考え過ぎですね、笑)

 とにかく「プチ世界旅行」的な気分に浸れる作品でした。

 さて次回の「70’s」はキャット・スティーヴンスの「CLASSICS VOLUME 16」を予定しています。