『'67年、ニューヨークの "地下室" で歴史は作られた。
2枚組全24曲のセッションに、ディランとザ・バンドの情熱が凝縮されている。』
66年のオートバイ事故の後、療養中のディランは、ウッドストックに移り住んだ
ザ・バンドの面々と、彼らの家(ビッグ・ピンク)の地下室で150曲もの数のレコーディングを
こなしたと言われています。この時の音源は公に世に出ることはなかったのですが、
ブートレッグとしていろんな形で出回ってしまいました。正式に音源として発表されたのは
75年でした。
バックはザ・バンド、と言っても前進のホークス時代にリヴォン・ヘルムは脱退しており、
このセッション時のディランのバックのドラムスはリチャード・マニュエルとロビー・ロバートスン
が叩いていて、リヴォンはザ・バンドのヴァージョンのみ参加しているようです。
ディランもザ・バンドも素晴らしいのは言うまでもないのですが、この音源を聴くにあたって、
いつも意識しちゃうのは、ハーモニーのつけかたです。「Million Dollar Bash」での
「Ooh, baby, ooh-ee」のハモリや、「Bessie Smith」での全編ハモリなどは、
メロディ・ラインやインスト・パートを押しのけて、そのハーモニーが主役になってます。
ハーモニーがもたらす高揚感がこのユニットの最大の魅力とも言えるでしょう。
「This Wheel's On Fire」なんて、かなりアバウトなハモリですが、
こんなムードを出せるユニットは他にはないでしょうね。
リハ音源ということもあり、両者共、かなりリラックスしたような雰囲気だし、
何よりも、家庭用のテープ・レコーダーに毛の生えたような器械で録音した音源が
いろんなプロセスを経て(いろんなものを足したり引いたりして)
こんなに素晴らしい記録が世に出たこと自体が奇跡とも言えませんか?