『映画をエンターテインメントする作品集。
菊地成孔初のオリジナル・サウンド・トラック!
クリスマス・プレゼントとして新たにレコーディングした
ジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」や、
次作の音楽性を予感させるクロージングテーマ「Wait Until Dark」
(ヴォーカル・ヴァージョンを新たに追加)を収録。』
きらびやかなイルミネーションに彩られるはずのX’masイヴに首都圏が停電に。
そんな夜のドラマティックで悲喜交々な男女の人間模様を綴った映画のサントラです。
サントラとして単独で本作品に接すると、単なる小品集、あるいは音の断片としか
聴こえないかも知れませんが、南博のおしゃれなピアノが何とも言えない味を出しています。
全体的にSE的な要素も多分にあるこのアルバム、圧巻はやはりラストの数曲でしょう。
ビル・エヴァンスのLP「WALTZ FOR DEBBY」をターン・テーブルに乗せるシーン、
「My Foolish Heart」が流れます。ここではベースの鈴木正人がテーマを奏で、
南博がピアノでオブリガードをつける、といった洒落たアレンジになっています。
ストリングスの差し込みも素晴らしいアイデアだと思いますよ。
そしてジョン・レノンの「Happy X'mas」、9本の管からなるラテンぽいアレンジは
度肝を抜かれます。また、ピアノの南博のアルバムから再収録された「Closing Velvets」も
南のピアノ・ソロにストリングスのアンサンブルが紡ぎ出す美しいサウンドです。
当初、某有名音楽家の方が音楽を担当するはずだったのが、急遽、降板され、
ピンチヒッターとして見事、大役を果たした菊地さん、クロージングの「Wait Until Dark」に
「人々が抱えている問題が、いろんな苦しみを味わいながら最後にはきちんと解決しますように。
そしてその時には真冬のラテン音楽に合わせて、大切なヒトと楽しくダンスが踊れますように。」
という想いがこめられています。