沖縄与那国出身の西泊茂昌(にしどまり しげあき)さん、
彼の「風のどなん」という歌の「どなん」とは、
昔、南海の孤島であった与那国のことを「渡難」と言ったらしいです。
与那国島まで渡るのが困難だったから「渡難島」と呼ばれたのでしょう。
三線を弾きながら唄う西泊さん、沖縄の音階でもなく、ちょっと演歌っぽく聴こえるかも
しれません。大半の曲の作詞を担当している「はくどう」というヒト、もちろん大塚博堂では
ありません。正体はわかりません。
西泊さんの育った与那国島は日本最西端の島で、八重山諸島の島で、沖縄よりも
むしろ台湾に近いという、日本であって日本でないような島、といった印象を持ってしまいます。
なんせ、台湾までは100kmちょっとしかないようですから。
ご本人はすでに活動をお止めになっていて、今は実兄の喜則さんが「風のどなん」を
唄い継いでいるようです。実は若い頃からギターが上手かった喜則さんにコンプレックスを
抱き、ギターではなく三線をマスターした茂昌さん、今では兄の喜則さんも三線を弾いてるとか。
「風のどなん」の中で、長老たちの昔話をバカにする若者を「愚かな者」と呼び、
「愚か者が住む夢なき国へ 疾れ疾れどなん風 愚か者を吹き飛ばせ」と唄ってます。
また、タイトル曲の「日日淡淡」では、
日本人ってどうしてこんなに忙しいんだろう
日本人ってどうしてこんなに哀しいんだろう
日本人ってどうして自由に生きれないんだろう
と、本土の人間に警鐘を発しているようです。「どなん」のヒトは「日本人」ではない、
という前提の元に、物事をとらえているかのようです。
このCDの製作元は「沖縄テレビ」で、本土では入手困難だったうえに、すでに廃盤らしいです。