3作目にあたるアルバムで、過去にもベニー・ゴルスンの曲を取り上げていましたが、
今回はすべてゴルスンのオリジナルです。翌年にはブレイキーのところで一緒になるんですが。
本作での聴きどころは、誰が何と言っても「I Remember Clifford」でしょう。
クリフォード・ブラウンが亡くなったのが56年の6月末、ブラウニーの死を悼んで
ゴルスンがこの曲を作ったのが57年の1月、そして同年の3月にはリー・モーガンの
アルバムでレコーディングしています。もちろんゴルスン本人もテナーで参加しています。
ゴルスンも自身のアルバムやジャズテットがらみで演奏しており、またケニー・ドーハムや
スタン・ゲッツ、MJQ、マンハッタン・トランスファーなど、いろんなジャズメンたちに
取り上げられた名曲ですが、やっぱり一番はこのリー"18歳"モーガンでしょう。
曲ができあがって最初に演奏したのがガレスピー楽団で、本アルバムのモーガン、ゴルスン、
ウィントン・ケリー、チャーリー・パーシップなどが加わってました。
そして最初にレコーディングしたのが、ジジ・グライス&ドナルド・バードで(57年1月)
その後すぐに(57年3月)そのジジ・グライスを加えてモーガンwithゴルスンがレコーディングし、
発売されたのがグライス&バードよりモーガンが先、と、何ともややこしい誕生秘話でした。
ワタシ的にはこの曲に駄作なし、と思ってますが、モーガンやバード、ファーマーなど
どれをとっても名演です。中でもこのモーガン少年のバラード・プレイはピカイチでしょう。
自然発生的なインプロヴィゼイションを核とした当時のジャズの中で、アルフレッド・ライオンが
アンサンブルを重視して作ったこのアルバム、ゴルスンあっての結果でしょう。