ギター・ファン必聴のギタリスト、ジョン・フェイヒィ、実にとらえどころのない
アーティストです。よく「実験音楽」と言われますが、まさに知らないうちに聴き手を
実験台に乗せてしまう魔力があります。
フェイヒィは2001年に心臓のバイパス手術の後、亡くなりました。
本作は1959年から1977年までの間、タコマ・レーベルに残した作品を集めたもので、
古い音源は再録されてますから実際は1967年から1977年にかけて録音された楽曲です。
すべてアコギのソロですが、ブルージーな音や、ブルーグラスっぽい賑やかな音まで、
また、スライド・プレイも聴け、かなり硬質な擦過音(スライド・バーやボトルネックではなく
ひょっとしてナイフのようなものをスライドさせてる?)が特徴です。
変則チューニングから紡ぎ出される「Fare Forward Voyagers」、クラシカルな手法も取り入れ、
23分もの間、ミニマル要素もまったくなく、真っ向勝負で仕掛けてきた大作です。
ディティールを掘り下げれば、たしかに凄いことをやってのけてるフェイヒィですが、
ただボーッと聴いていても、かなり心地よいサウンドです。
さて、次回の「70’s」は、ジェフ・マルダーの「MOTION」(1976)を予定しています。