『ゲイリー・トーマス、念願のプロジェクト遂に実現!
パット・メセニーをゲストに迎えて繰り広げる新世代スタンダーズ。
90年代を代表する新名盤だ!!』
邦題は「ゲイリー・トーマス&パット・メセニー・プレイ・スタンダーズ」で、
非常に意図が明確に表現されたタイトルになってます。
ピーター・バラカンさん風に読むと「ギャリー・トーマス」ってなるのでしょうか。
ゲイリーのラヴ・コールに応え、NY入りしたパット、実はゲイリーの新作が
スタンダード集であることをまったく知らなかったらしいです。過去の作品で
ラップを取り上げたり、ファンクを演じたりしていたゲイリー、そんなゲイリーの
アルバムを聴いて予習してきたパットは、当然、楽器や機材もそれ用のモノを準備してました。
そんなパットは「ありきたりのジャズ・ギターを弾いてもゲイリーとコミュニケイトできる
はずがない...しかし、スタンダード集なので、ルールから大きく逸脱するようなプレイも
できない...」と考えた末、譜面を一切見ずに、ゲイリーのプレイに素直に反応するように
努めた、というエピソードがあります。
さて、テリ・リン・キャリトンが可愛い顔して過激に叩く「Angel Eyes」、
ゲイリーがソプラノ・サックスに挑んだ「The Best Thing For You」
そして唯一のデュオ・プレイ「Lush Life」、ここでのパットのアコギとゲイリーのテナーが
創り出す優しい空気は何なのでしょう。かなりオーソドックスに吹くゲイリーでした。
ゲイリーがフルートを吹く「Peace」でのフルート~ギター~ピアノのソロのまわしが
実に心地よく、バックのテリ・リンのドラムスがその心地よさを演出する大きな要因です。
とにかく、先に挙げたエピソードがホントなら、瞬間芸で応酬するパットのプレイが
スタンダードの本質を壊すことなく、ゲイリーとのコミュニケーションを見事に作り上げています。