「TIME SPEAKS:DEDICATED TO THE MEMORY OF CLIFFORD BROWNE」 1982
『偉大な2人のトランペッターが、ブラウニーの親友ゴルソンを迎え、
亡き天才を偲んで行なわれた感動の名セッション。』
ベニー・ゴルスン名義なのですが、なぜか日本でリリースされたものは
「フレディ・ハバード/ウディ・ショウ/ベニー・ゴルソン」となっており、
ひょっとして「フレディのアルバムか?」と勘違いするヒトもいるのかな?
面子は
ベニー・ゴルスン(ts)
フレディ・ハバード(tp,flh)
ウディ・ショウ(tp)
ケニー・バロン(p)
セシル・マクビー(b)
ベン・ライリー(ds)
さて、ベニー・ゴルスンといえば、あの名曲「I Remember Clifford」の作者ですが、
実際、ブラウニーとゴルスンは、タッド・ダメロンのレコーディングで共演しただけですが、
親交は深かったようです。そんなゴルスンがハバード&ショウという2本のトランペットを
チョイスしたのは正解でしょう。2人ともブラウニーの崇拝者ですから。
邦題はズバリ「クリフォード賛歌」です。
タイトルだけを見ると、「クリフォード・ブラウンへのトリビュート」か?
と思っちゃいますが、ブラウニーにまつわる曲は「I'll Remember April」と「Jordu」
の2曲のみで、あとは、ゴルスンがブラウニーに捧げた「Time Speaks」と「No Dancin'」、
そして、ハバードが愛妻に捧げた「Blues For Duane」、ショウがこれまた愛妻に捧げた
「Theme For Maxine」という構成になっています。
タイトル曲の「Time Speaks」は、メンバーによるブラウニーへの追悼曲で、メンバーが
祭壇に花を添えるように、順番にソロをとります。とりわけ、低音域だけを使ったゴルスン、
そしてミュートがはずれてしまい、途中からオープンでソロをとったハバード、
エンディングは3管のリフでしめくくる渋い演奏です。
ブラウニーの十八番「Jordu」では、ハバード~ゴルスン~ショウのソロの後、
ハバードとショウの掛け合いがありますが、短いフレーズの中にも、ハバードには”華”を
ショウには”歌心”を感じます。
ゴルスンは名曲「I Remember Clifford」で、ブラウニーの美しいメロディアスな部分を
上手く表現していますが、そのゴルスンに、ブラウニーを"神様"と崇める二人のトランペッター
が加わったのですから、美しさが強調されたアルバムか、と思いますが、そこはあのゴルスン、
3人のオリジナルも交え、敬愛の念をもってこの追悼アルバムを作ったのでしょう。
ゴルスンの人選は間違ってないと思いますよ。