60年代末から70年代初頭にかけて一世を風靡したカナディアン・ロック・バンド、
ゲス・フーの3CDBOXです。カナディアン・バンドといえば、あのザ・バンドをはじめ、
ステッペン・ウルフ、ジェイムズ・ギャング、そしてこのゲス・フーあたりは欠かせませんね。
ゲス・フーとの出会いは、今から38年ほど昔、ラジオでヒット曲の「No Time」を
聴いたのがきっかけです。その後、「American Woman」や「Share The Land」
「Hang On To Your Life」あたりまではオンタイムで聴いてたのですが、
それ以降はあまりパッとしませんでした。
「No Time」以前のヒット曲「These Eyes」「Laughing」も含め、
69年~70年が絶頂期でしょう。
バートン・カミングス(vo)とランディ・バックマン(g)を中心とした構成ですが、
その後、メンバー・チェンジを頻繁に行なってました。ランディ・バックマンは
ご存知、BTO(バックマン・ターナー・オーヴァードライヴ)を結成します。
その後、カート・ウィンターやドミニク・トロイアーノ(ジェイムス・ギャング)などが
ギタリストの座を務めました。
バートン・カミングスの多様なヴォーカルが魅力の一つで、「Laughing」のようなバラード、
「American Woman」でのシャウト・スタイル、そして「No Time」でのコーラス・ワークなど
どれも素晴らしく、まさにバートンのバンド、といったところでしょうか。
第1期のギタリスト、ランディ・バックマンに比べ、「Hand Me Down The World」あたりから
加わった第2期ギタリスト、カート・ウィンターのほうが、バンドのカラーを多様化したという
意味でも、またソングライターとしての貢献度も大きいのではないかと思います。
へヴィーな「Share The Land」やカントリーとブルーズをメドレーにした
「Medley:Coming Down The Money Bag ~ Song Of The Dog」などで
カートのギター・プレイが堪能できます。ただ、バックマン時代のストレートなサウンドが
影を潜め、リズムやメロディも多様化し、ヴォーカルもバートン・カミングスとカート・ウィンター、
グレッグ・レスキウの3人に分散してしまい、結果的に第2期はビッグ・ヒットには
恵まれませんでした。
第2期のもう一つの特徴としては、バートンのピアノ・プレイが挙げられるでしょう。
「Albert Flasher」でのホンキー・トンク風のプレイや、「So Long, Bannatyne」の
ブルーズ・ピアノなど、なかなか腕達者なところを見せています。
この第2期では「Clap For The Wolfman」が74年7月にビルボードの6位にランクイン
してるのですが、まったく記憶にありません。逆にチャートとは無縁だった「Lie Down」
の方が、当時ラジオで聴いた記憶があるのですが...。
さて、ジェイムズ・ギャングのドミニク・トロイアーノがギタリストとして加入した第3期は
第2期以上にヒットに恵まれなかったようです。ドミニクがジョー・ウォルシュの後釜として
加わったジェイムズ・ギャングがサウンド的にまろやかになったのと同様に、ゲス・フーも
ドミニクの参加によって、カントリー・テイストなども加わり、よりポップになったようです。
彼はソングライティングにも貢献しており、第1期や第2期とも違い、バートンのヴォーカルの
魅力を最大限引き出せるような曲作りやアレンジをしており、それがアダとなったのか、
以前のようなワイルドさが無くなったのがちょっと残念です。
第3期としては「Dancin' Fool」が28位にランク・インされただけです。
このBOXセットには未発表テイクが3曲収録されています。
初期のナンバー「Lightfoot」のリハ・テイク
「Medley:No Sugar Tonight ~ New Mother Nature」の別テイク
「American Woman」の別テイク
とくに「American Woman」は25番目のテイクで、本テイクよりも1オクターブ下げて
バートンが唄い、ランディのギターの"遊び"を挟んだ、妙にテンションの低い「American Woman」
でした。(笑)
21世紀に入ってからランディを加えて再結成ツアーも行なってるようですが、
現在は解散状態のようです。
ワタシの「70年代の最初の思い出」のゲス・フーでした。