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PAUL WINTER 「EARTHBEAT」     1987

 『ロシアのディミトリ・ポクロフスキー合唱団と、ポール・ウィンター・コンソートが、
88年歴史上初めて民族・文化・イデオロギーを超えて共同制作した名盤。』

 上のCDコピー文には「88年」と記されていますが、レコーディングされたのは87年です。

 ポール・ウィンターがずっと追求しているのは「幸福な音楽」で、その形態が
ある時はジャズ、またある時はブラジリアン、そしてアフリカンや他の民族音楽であったり、
ザトウクジラとの共演であったりするのです。

 ポール・ウィンターは1986年、レーガンとゴルバチョフによるジュネーヴ文化協定のもと、
初めて旧ソ連でコンサートを行った米国バンドだったりするのです。そんないきさつもあって、
ソ連のローカル合唱団が唄うコーラスをを米国へ持ちかえり、ウィンター・コンソートの音を
かぶせて本作が誕生した、ということです。当時のソ連の体制からして、かなり難航するものと
思われたそうですが、実際はボルバチョフのペレストロイカのおかげで、
意外とすんなり進行したようです。

 ロシアの合唱団というから短絡的にロシア民謡などを思い浮かべがちですが、
ここでのコーラスはそういったロシア臭がなく、時にアフリカンぽいコーラスや
ブラジリアンぽいリズムなど、意外と聴きやすいサウンドです。

 このウィンター・コンソートはポール・ウィンター(ss)、ポール・ハレイ(key)に加え、
オスカー・カストロネヴェス(g)が中心となり、特にカストロネヴェスが編曲に加わった
「Kurski Funk」や「Down In Belgorod」「Epic Song」などは、ブラジリアン・テイストの
ギターのカッティングやパーカッションなどがさりげなく強調されており、コーラスと
合わさって、どこかブラジリアンのようなアフリカンのような...といった捉えどころのない
サウンドを創りあげています。