トラッド・シンガーでギタリストのニック・ジョーンズ、
1982年に交通事故で再起不能と言われてましたが、事故前の作品です。
ギターのアタックの強さといえばワタシはすぐにバート・ヤンシュを思い浮かべますが、
ニックはバートとはまた趣の違うアタックで、どちらかというとパーカッシヴな奏法です。
「The Drowned Lovers」ではニック自身のフィドルや(これがまた素晴らしい!)
トニー・ホールのメロディオンなどにより、暖かみを感じさせる音になっています。
そして何よりも彼の唄声にも暖かい人間味を感じてしまいます。
一番好きなのは「Courting Is A Pleasure」で、失意を抱きながら
アメリカに渡ろうとしている男が、心変わりした恋人のことを想う歌で、
アタックの強いギターと彼の声、それに絡むリコーダーの切ない響きが
郷愁を誘います。
素晴らしいシンガーでした。