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PENTANGLE 「OPEN THE DOOR」     1983

 『ジョン・レンボーン以外のメンバーで再結成された83年の発表の再編第一作。
ダニー・トンプソン&テリー・コックスのタイトなリズム・セクション、
モダンな音ながら非常に純度の高いアコースティック・サウンド、
ジャッキー・マクシーの独自で純度の高いヴォーカルによる、
オリジナル路線を引き継いだタイトル曲や「ヤーロゥ」などの絶品のトラッド・ソングから、
ミルトン・ナシメントのカヴァー「マザー・アース」に代表される、
今までに無い開放感溢れるサウンドが、文字通り扉を開けて、
新しい門出への決意を感じさせる意欲作。』

 オリジナル・メンバーでの72年のラスト・アルバム「SOLOMON'S SEAL」から11年、
ジョン・レンボーン以外のメンバーに新たにマイク・ピゴットのギター、フィドルを加え
再結成されました。前年にオリジナル・メンバー全員が揃ってステージに立ったようですが、
残念ながらレコーディングにはジョンは不参加となったようです。

 トラッド素材として取り上げたのはタイトル曲「Open The Door」と「Yarrow」
の2曲だけで、「Yarrow」はバートのソロ・アルバム「MOONSHINE」に収録されたもの
だから、ペンタングルとして取り組んだトラッドは「Open The Door」のみ、
ということになります。永年、ジョン&バートのインタープレイに慣れ親しんだファンには
火花散るようなプレイはないものの、ギター以外にフィドルもプレイするマイク・ピゴット
の加入は、トラッド臭が薄まったとはいえ、ポップなテイストが加わり、カドがとれたよう。

 意外だったのはブラジルMPB界のミルトン・ナシメントの「Mother Earth」を
ジャッキー&バートのコーラス・ワークにより、見事なフォーク・サウンドにしてしまってる
ところでしょう。「バート・ヤンシュ作」というクレディットがついてても不自然では
ないくらいバートの節回しになっています。

バートのソロ・アルバムでも取り上げていたバラッド「Yarrow」、ここではジャッキーの
無伴奏歌唱に始まり、ギター、リズム・セクション、フィドルが加わってくるスタイルで
往年の透明感は薄まったものの、ジャッキーの澄んだヴォーカルが聴けます。

 このペンタングル、80年代から90年代に数枚アルバムを残し、21世紀に入ってからは
「ジャッキー・マクシーズ・ペンタングル」と名乗り、ジャッキーが主導権を握った
グループとなったようです。