70年代に青春を過ごした私ですが、一口に「70年代」といっても、
高校生の時の聴き方、大学生の時の聴き方、社会人になり立ての時の聴き方、
といろいろあったような気がします。特にこのアルバムがリリースされた年は、
すでに社会人になっており、自分で聴く音は自分が決める、みたいな法則が
自分の中にあったようです。(学生時代と違って、単に時間が思うように
とれなかっただけか?)
このTOTOというバンド、セッションマン集団としていろんなところで
耳にしていましたが、そのいずれもが「AOR」というイメージを私に
植え付けていたのでしょう。(もちろんその当時はまだ「AOR」という
言葉はなかったのですが)音を取捨選択する際に、無意識に遠ざけていた
類の音だったのかも知れません。それがどのようないきさつでこの「HYDRA」
を手にしたのか憶えておりませんが、レコードを何度か大量に処分した時期があり、
今まで手放さずに残っているところをみると何か魅力を感じたのでしょう。
ボビー・キンボールのハイトーン・ヴォーカルはハッキリ言って好きな類ではなく、
ツイン・キーボードもそれほど魅力を感じない、ルカサーのギターもどうってことない、
と思ってたのですが、ジェフ・ポーカロのドラミングと、ディヴィッド・ペイチの
曲作りやアレンジが好きで、集合体の音としてはかなり好きな音でしたね。
スティーヴ・ルカサーのお上手とは言えないヴォーカルの「99」と、
「Mama」でのギター・ソロとピアノの掛け合いは、今聴いてもゾクッときますね。
そして極めつけは「White Sister」、ジェフのパワフルなドラミング、ルカサーの
スピード感溢れるギター、そしてピアノとシンセがさりげなく同居しているところなど、
どこを切り取ってもカッコいいです。今だったら何の照れもなく聴けちゃいますね。