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ART PEPPER with DUKE JORDAN 「IN COPENHAGEN 1981」     1981

 1981年7月、ペッパーにとって最後の欧州ツァーの初日の記録で、
当初はピアノが最愛の友、ジョージ・ケイブルズのはずだったのですが、
ケイブルズが何らかの理由で参加不可能となったため、急遽コペンハーゲン在住の
デューク・ジョーダンをプロモーターが代役として起用、まさにぶっつけ本番の
ステージです。

 ところが、ぶっつけ本番という状況をまったく意識させないコンビネーションで、
オープニングのDISC--1「Blues Montmartre」でのブルージーで心地よいピアノを
得て、ペッパーもかなり飛ばしています。

 一方、ジョーダンもペッパーの十八番DISC--3「Over The Rainbow」のソロでは
音を慎重に選びながら弾いているという印象で、カフェ・モンマルトルのハウス・ピアニスト
だったジョーダンはたくさんの拍手をもらっています。

 そんな好演のジョーダンもDISC--2「Cherokee」のようなテンポでは手数も少なく、
前半なんかは弾くのをやめちゃってピアノレスになってしまってます。
その「Cherokee」とメドレーのようにして続けられる「Radio Blues」のような曲では
ジョーダンの本領発揮、70年代後半あたりからブルーズを好んでプレイしてきた
ペッパーを渋くサポートしています。

 この後、帰米し例のメイデン・ヴォヤージでのライヴ盤と、82年には
「TETE-A-TETE」「GOIN' HOME」を吹き込んで他界したことになります。
ケイブルズとの一連の流れを遮った、ケイブルズ抜きのこのコペンハーゲン・セッション
を機に、皮肉にもケイブルズとの絆を更に強くしたことでしょう。

 DISC--5「All The Things You Are」の後半のペッパーとジョーダンの
掛け合いなどは素晴らしいです。決してスリリングではありませんが、
どこかほのぼのとして暖かみを感じる演奏でした。