ミンガスがジョニを聴いてたいへん気に入り、オーケストラを加えた
ミンガスのグループで、T.S.エリオットの「フォー・カルテット」を
ジョニに朗読させる、という企画がボツになり、替わりにミンガスが曲を書き、
ジョニが詩を書いて唄うアルバムを作ることになりました。
A-1「Happy Birthday 1975」での「ハッピー・バースデイ」を唄うテープは
夫人のスーとミンガスとのやりとりで、決してジョニとの会話ではありませんので...。
(結構、勘違いしている方もいらっしゃるようで) ミンガスが亡くなった後、
ジョニの詩が出来あがり、ウェイン・ショーターやジャコ・パストリアス、
ハーヴィー・ハンコックらの協力を得て制作されたアルバムで、所々ミンガスの
肉声が入るのは生前のテープによるものです。
テーマは「ジョニによるミンガス・トリビュート」のはずですが、出来あがった作品は
ジョニ&ジャコの仕事、と言ってもいいでしょう。当時、このコード進行で唄う、
といった発想はロック界やポップ界には存在しなかったはずで、また唄える人も
多分ジョニ以外にはいなかったでしょう。そういう革命的な仕事はやっぱり
ジョニ&ジャコの仕業ですね。
B-4「デ・モインのおしゃれ賭博師」でのジャコのベースとジョニのヴォーカル、
そしてそれにからむホーンがまた素晴らしい! そしてミンガスの十八番B-6
「Goodbye Pork Pie Hat」につけられたジョニの詩は、レスター・ヤング夫妻の
ことを唄ったものですが、これまた素晴らしい!(興味のある方は訳詞を参照してくださいな)
しかし何が素晴らしいと言って、このジャケットの表、裏、内側のミンガスを描いた
ジョニの絵の素晴らしさ、これだけはCDでは味わえません。ぜひアナログ盤の
ジャケットを手にとって見てください。(ちょっぴり優越感...失礼しました)