前年の「9.11」のあとCS&Nを誘い、
平和への思いを訴えるツァーを行い、その間にリリースされたアルバムで、
迷彩服に赤いバラが印象的なジャケットです。
作品自体はブッカーTのMG’sのメンバーに
クレイジー・ホースのフランク・サンペドロを加えた陣容で、
陽気なスタックス・サウンドを思わせるような曲と
明らかに「9.11」の影響を受けて作られた重々しい曲、
という風に2極化してしまいました。
特にオープニングの「You're My Girl」の明るさや
「Differently」での昭和歌謡を思わせるようなギターのイントロなど、
正直、どうもピンときません。また全編にわたりバックに
オルガンの音があるのもちょっと馴染めませんでした。
もう一つの特徴である「9.11」という側面では
「Let's Roll」「Are You Passionate?」「Goin' Home」の3曲が
曲調も重々しく、事件の影響を引きずっていると思われます。
「Let's Roll」のイントロでの携帯電話の音、
何だろうと思って調べてみると、
飛行機の中から家族にかけた最後の一言「Let's Roll」(さあ行くぞ!)
を題材にしたと言われています。
また「Are You Passionate?」はクレイジー・ホースと演奏しても
違和感のないような作りで、曲間のギターのフレーズがシンプルかつ印象的な曲です。
そして正真証明、唯一クレイジー・ホースをバックに演奏された
「Goin' Home」、やっぱりラルフ・モリーナの「ドッタンバッタン」
のドラムがないとねぇ。一番安心して聴けてしまった曲でした。
私的には「スタックス・サウンド」という側面よりも
「アフター9.11」を意識した3曲が素晴らしいと思います。