『ハスキー・ヴォイス、ヘレン・メリルとリリカルなビル・エヴァンスとの貴重な共演盤。
「ウィズ・クリフォード」に継ぐ、ヘレン・メリルの名盤。
ピアノの詩人ビル・エヴァンスが5曲で参加、ハスキーなヘレンだけのエモーションを感じさせる
エマーシー最後のアルバム。』
どうも私には歌伴のエヴァンスはピンと来ないのですが、
選曲の良さ、とりわけミディアム~スロー・テンポなものがヘレンにマッチしていて、
彼女の魅力を再認識できるアルバムです。
本作には57年シカゴ・セッションと58年NYセッションが含まれ、
57年の編成(ピアノ、ベース、ドラムス、ギター、フルート)をそっくりまねた編成で
58年にエヴァンスを交えてレコーディングされています。
57年のメンバーは知らない名前ばかりですが、
58年はエヴァンス、オスカー・ペティフォード、ジョー・ジョーンズ、ジョージ・ラッセル、
ボビー・ジャスパーというつわもの揃いで、57年の編成を気に入ったヘレンが、
同じくギター、フルート入りの編成を要求したのでしょうか。
さて、なにかとエヴァンスの参加ばかりに注目されがちですが、
「バイ・バイ・ブラックバード」でのディック・マークスのピアノ、
マイク・シンプスンのフルートもなかなかのものです。
同じく57年物ではスロー・バラード「あなたの面影」、
このテンポとディック・マークスのさりげないピアノの伴奏がたまりません。