ジャケ裏の写真はスティルスとドニー・ダッカスが向かい合ってプレイしている写真で、
ドニーは「Turn Back The Pages」などでスティルスと共作しています。
1910フルーツガム・カンパニーや後のシカゴのギタリストとしても有名です。
マナサスからサウザー・ヒルマン・ヒューレイ・バンド結成のため、
クリス・ヒルマンを中心にメンバーがゴッソリ抜け、解散を余儀なくさせられたスティルスは
CBSに移籍し、本作(邦題「孤高の世界」)を制作します。
印象としては、マナサスからストレートな部分を取り除き、カントリーやラテンの要素もなくし、
腑抜けになったようなサウンドです。
唯一の目玉はニール・ヤングの「New Mama」を取り上げたことでしょう。
前年の74年にはCSNY再編成ツァーなどもやってますから、この選曲もうなづけます。
ニールのヴァージョンは例のダニー・ウィッテンがらみの悲痛な雰囲気の中でレコーディングされた
「TONIGHT'S THE NIGHT」に収録されたもので、
対するスティルスのヴァージョンは、リーランド・スクラーとラス・カンケルによるリズムを鮮明に打ち出し、
ニールのメロディやハーモニーをなぞるように唄われたもので、さほどオリジナリティは感じられません。
得意なアコースティックな曲はないし、リズムの多様性も見られず、どこか中途半端な作品でした。(相変わらず、ギターはワウ・ペダルに頼りっぱなし...)