「バンドの形態を捨てベッカー&フェイゲンの二人になってもサウンド・ポリシーを維持している」
という見方と、「本作以前と以降とではサウンド・クォリティは明らかに違う」という見方があると思われます。
私は、本作ではサポート・ミュージシャンの貢献度も見逃せないと思います。
特にアレンジメントにも関わったラリー・カールトンがダンのベクトルを少し変えたといっても
過言ではないと思うのですが...。
A-1「Kid Charlemagne」でのラリーのギターは、本人も一番のお気に入りだけあって、
過去のダンの作品の中でも、ギターの存在感を一番感じさせる曲に仕上がったのではないでしょうか。
私が一番好きなのはA-5「The Fez」で、ヴォーカルの入り方とか、
一風変わったメロディラインなどが当時かなり新鮮に聴こえました。
こういったグルーヴを持ち合わせたロック・バンドが他になかったことも事実です。
ベッカー&フェイゲン、プロデューサーのゲイリー・カッツ、
そしてバックを担当するミュージシャン等が、すべて良い方向に向った「名盤」と言えるでしょう。