『ジョー・パスのギターをオーヴァーダブした62年版ステレオ・マスターを使用!』
チェットの声が嫌い、という人もいると思います。
しかし、数ある作品の中で、代表作として挙げられる「SINGS」は、
チェットのリリカルなトランペットと中性的なヴォーカルが味わえるユニークな作品でしょう。
もともと54年、56年にモノラルで録音されたオリジナル「SINGS」に、
62年、ジョー・パスのギターを加えステレオ化したもので、収録曲も何曲か入れ替わってます。
オリジナル「SINGS」になかった「Someone To Watch Over Me」も聴けて、
私的にはこのステレオ盤も結構気に入ってます。
「My Funny Valentine」や「Like Someone In Love」「But Not For Me」など、
晩年まで唄い続けられたものもたくさんあり、あくまでもヴォーカル・アルバムなのですが
イントロや短いソロにもヴォーカルを引き立たせる何かがあります。
(唄ってる本人が吹くわけですから、一番いいフレーズです)
好きなトラックは「Someone To Watch Over Me」で、
間奏のストリングスのあとに転調してチェットのソロに続くところがたまりません。
続く「But Not For Me」は晩年の枯れた味わいのヴァージョンも好きですが、
ここでのハギレのよいリズムにのって唄われたヴァージョンも若々しくていいです。