アサイラムでの最後のアルバムで、ジャジー路線からバンド・サウンドへ移行する過渡期の作品で、
トム自身がエレクトリック・ギターを弾きながら唄う曲と、オーケストレーションをバックに唄う
美しい唄が混在してます。
ちょうどコッポラの「ONE FROM THE HEART」のサントラの制作の合間に作られたもので
(新しい環境に片足をつっこんだ状態で)、バンド・サウンドの方は、
ロニー・バロン(ベター・ディズの)のハモンド・オルガンが新境地へ導く
インストA-2「In Shade」、A-4「Downtown」などが新鮮ですし、
持ち味の旋律の美しさという点では、A-3「Saving All My Love For You」や
ブルース・スプリングスティーンもカヴァーしたA-5「Jersey Girl」などは
かなり出来が良いのでは?
またB-2「On The Nickel」は同名の映画のために作られたもので、
弦をバックに唄われたホントきれいな曲です。いろんな声を使い分けているトムでした。
しかし、このようなきれいな曲は、アイランド移籍と同時に減っていきます。
後の奥様のキャスリン・ブレナンに捧げた「Jersey Girl」と
別れたリッキー・リー・ジョーンズを唄った「Ruby's Arms」が一枚のアルバムに同居してるのも
面白いです。どちらも美しい曲です。