ベランダを開け、非常階段を一気に走って降りた
初めての道だったが迷う事なく降り外の道路に出れた
状況と同じくその日は冷たい雨が降っていた
とりあえず駅まで走った
途中何度も立ち止まり
戻ろうと思った
Lがどんな目にあっているのか
また殴られてるんじゃないか
また薬を打たれているんじゃないか
まだLは俺が戻ってくるのを信じているのではないか
俺のLへの本気度を試しているんじゃないか
何度も葛藤した
ここで戻ったらかっこいいだろう
しかし逃げろと言ったLの目は本気だった
本気でやばい人達なんだと
俺は駅に着いたがやはら帰る気分にはなれなかった
近くの満喫に入りすぐに俺はLに電話をかけた
何度かけても出なかった
時間だけが過ぎていく
よくよく考えてもこの満喫にいる意味は特にない
しかし家には帰りたくなかった
このまま放ってはおけなかったからだ
ちょうどその時仲の良い同じ店のKから電話があった
たまたまだ
Kは俺の後輩だ
元々友達で俺が誘ってお店に入店し、俺と同じくそこで初めてホストになった
歳も同じだったから先輩後輩という関係ではなく普通に仲のいい同期みたいな感じだった
よくKの悩みや相談を俺は聞いたり、Kがお金がない時はよくご飯に連れて行ったりしていた
当然Lの事も知っている
LもKだけは慕っていた
Kは義理堅い奴で状況を話すと直ぐに駆けつけてくれた
こうゆう時ほど心強い者はない
お前絶対戻らないと後悔するぞ
俺もいくから行こうや
Kは着くなりそう言ってくれた
俺はKと共にまたLの家に戻ったのだ
何かあったらこれでぶちのめしてやるわ
Kはそう言ってメリケンサックとサバイバルナイフを持っていた鞄から取り出した
普段から家に何故か釘バットを置いているような奴だったから
笑ってしまった
玄関から入るのは危ないから非常階段を登ってベランダから入ろう
俺とKは恐る恐る非常階段を上りベランダから部屋を見た
電気は付いていた
しかし部屋には誰もいなかった
明らかに散らかった後だけが残っていた
玄関から外へ出たがそこにももはや誰も居なかったのだ
電話しても繋がらない
警察に。。
とも考えたがLの事を思うと警察には相談できなかった
歯痒い気持ちで俺とKは帰ることにした
そこから2日後だった
Lとは連絡が取れずにいた
常にLの事は頭から離れなかった
営業後KとLの事を話しながら西武新宿駅前の喫煙所で帰り際にタバコを吸っていると
Lからどこにいるの?
とメールが来た
俺は速攻で今西武新宿駅前の喫煙!
大丈夫なのか?
と返信した
直ぐにLから
今から行く!
と返信があった
俺はKと2人でホッとした
状況はどうあれLは無事だった
そしてまだ俺に会いたがっている
一度は捨てかけたタワーという夢も再び現実に戻ってきたのだ
お前は流石や!
Kも嬉しそうだった
ありがとうK
そんな会話をしていると
バン!?
!?!?!?
背後からいきなり首根っこを思い切り掴まれ俺は地面に倒された
一瞬何が起きたか分からなかったが
見上げるとそこには見たこともない輩達が数人俺を見下していた