<宮:張緑水ストーリー>の中の美しい韓国舞踊の世界 | 韓国貞洞劇場公式ブログ

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こんにちは、貞洞劇場ですウインク
秋が深まっている今日この頃です。時間がゆったりと流れる美しい季節の風景を見ていると、胸がときめきます。この豊かになる感性に、文化と芸術が加われば、残りの10月ももっと楽しくなるのではないでしょうか。風情とロマンがいっぱいの貞洞キル(トルダムキル)にある貞洞劇場は、韓国を代表する伝統文化芸術劇場です。

 

韓国の伝統文化芸術を現代的に解釈したレベルの高い公演を披露しています。貞洞劇場の常設公演<宮:張緑水ストーリー>は奴婢、芸妓、後宮など、ドラマチックな人生を送った張緑水(チャン・ノクス)の物語を、伝統舞踊と演戯を通じて見せる創作舞踊劇です。

天真爛漫でおてんばな奴婢時代、踊りと歌で当代最高の芸術家になった芸妓時代、そしてついに王の女となって宮廷権力の争いに巻き込まれる姿まで、張緑水の人生を芸術的な解釈で描いています。緑水が身分によって、韓国の庶民文化、妓生文化、宮廷文化を遊戯と踊り中心に表現しています。

 

<宮:張緑水ストーリー>は優れた芸術家としての長緑水に注目した公演なので、韓国の伝統舞踊レパートリーが多く披露されます。そのため、今回は<宮:張緑水ストーリー>の中の韓国伝統舞踊についてです!二度にわたって紹介しますが、今回は第一弾として、緑水が芸妓時代に披露した踊りについてです。

<長鼓舞>

張緑水の芸術的な才能を見抜いた齊安大君に抜擢され、假興淸の妓女になった緑水。本格的な妓生の修行に没頭した緑水はほかの妓女たちと一緒に長鼓(チャンゴ)を肩に担いで長鼓舞を舞います。

長鼓舞は大きく踊りを中心に踊るか、リズムを中心に踊るかで分けられます。妓生房での長鼓舞や風物ノリの長鼓舞はリズム中心です。妓女の張緑水はもちろん踊り中心です。興と趣、上品で美しい長鼓舞です。

長鼓という楽器がいつから踊りとむすびついたかはわかってはいません。ただ、長鼓にひもをつけて、肩に担いでたたきながら踊る形式は、朝鮮時代の民間の芸術家たちによってよくもちいられたそうです。

 

<閑良舞>
齊安大君に導かれ、緑水は芸術的な技量を開花させ、朝鮮時代最高の妓女になる。假興淸の前はそんな緑水を見に来た人たちでにぎわうのですが、その時の踊りが閑良舞です。


世宗大王時代に書かれた「龍飛御天歌」によると閑良とは「官職がなくのんびりとくらす人たちの俗称を閑良という」とある。最近の言葉で解釈すれば、金遣いがよくて遊び好きな人たち、といったところでしょうか。


閑良舞はこうした閑良たちが趣と興を身体で表現した踊りです。普通は帽子を被り扇をもって踊りますが、素手で踊るときもあります。踊りの形式は決まりはありません。状況によって即興で自由に踊ります。

ただ、朝鮮時代の閑良は身分が両班だったので、貴族の優雅な品が踊りのしぐさから感じられます。貴族を象徴する鶴の姿を形象化して踊ります。

 

<教房サルプリ舞>

教房とは、朝鮮時代の妓女たちを中心に、踊りと歌管轄した機関です。そのため、教房舞とは、教房で教えて習って踊った舞、または妓女たちによって継承されている踊りの総称です。教房剣舞、教坊グッコリ舞、教房僧舞、教房サルプリ舞などがあります。

<宮:張緑水ストーリー>に登場する教房舞は、教房サルプリ舞と教房扇舞です。まず教房サルプリ舞は、假興淸を訪れた閑良たちの前で妓女たちが舞う踊りです。

「サルプリ」は「邪気を祓う」の意味で巫俗から出た言葉です。そのためサルプリ舞は「邪気を祓う舞」と言えます。本来は祭儀的性向の強い巫俗舞としてはじまりましたが、妓生などの芸人によって妓房芸術として定着しました。

教房サルプリ舞は女性らしい艶やかさが特徴です。妓女が主に狭い部屋で舞ったので、可愛らしく繊細な動作が特徴です。

 

<扇の舞>
假興淸の中でとびぬけた才能を持っていた張緑水が堂々と登場し、扇を持って踊ります。熱い心をもった女性、張緑水の舞が深紅の衣装によってより強烈で魅力的です。

実際は、両手に扇を持って一人で舞う形態の扇の舞は韓国固有の伝統舞踊ではありません。1954年に舞踊家の金白峰が創作した舞です。もちろん、巫女舞をはじめ世界の国の民族舞踊の中で扇を持って踊る舞は多くあります。しかし、こうした踊のほとんどが扇が中心ではありません。扇は小道具にすぎません。しかし、緑水の扇の舞は扇を広げたり閉じたり、振り上げたり、その扇の技巧が圧巻です。

こうした技巧が中心の扇の舞は1954年11月26日~28日までソウル市公館で「金白峰舞踊発表会」で初めて披露されました。当時、金白峰は扇を持って、赤い帯で腰をしっかりと結んだ高句麗風の服飾を着て、扇の舞の独舞を踊ったとされています。

独舞の扇の舞が数人で踊る群舞で再構成されて発展したのは、1968年メキシコ五輪の時とされています。オリンピックと共に開催された世界優秀芸術祭展と世界民俗祭展で、韓国民俗芸術団が扇の舞の群舞を踊ったのがきっかけです。以後、扇の舞は世界での韓国公演芸術の美しさを代表する踊りのひとつに挙げられています。

 

 

<宮:張緑水ストーリー>の中の韓国伝統舞踊についての話はここまでです。第二弾は、王の女になってからの緑水が魅せた踊りについての話です。お楽しみに~パー

 

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<宮:張緑水ストーリー>
火曜日~土曜日 16:00
会場:貞洞劇場