今回の紹介は、和歌。
『思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを』
古今和歌集より、小野小町の歌を。
覚えてないと思いますが、以前紹介させてもらった和歌で“夢”って言葉が出てきた時に
>昔の人は、“夢をみる”って事を特別なものだと思っていたそうです。
>ま、それは別の和歌のときにでも説明できたらいいかなと思います。
なんて言っておきながら、ずっとほったらかしにしてしまってたんでw←オイ
まずは歌の解釈をやっておきましょうか。
あの人のことを想い続けて寝たから、あの人の夢を見たのだろうか。
夢だとわかっていたなら、目覚めずにいたのに。
・・・と、こんな感じですかね。
夢の中で、夢か現かさえわからない状態で、ただただ相手を想っていた。
なんて、乙女と言うか何と言うか。
でも、目が覚めて。
それが夢だと知って、すごく切ない様子が現れてますよね。
で、“夢”についての解説なのですが。
今でこそ、夢に好きな相手が出てくるのは、「自分が相手を想いに想っているから」・・・だという風に思う人がほとんどだと思うんですけど、昔の人は逆に「相手が自分を想っているから」だと思っていたんだとか。
まぁ、この歌に関しては当てはまっていないみたいですけど・・・w
なので、もう2つほど小野小町の和歌を紹介しておきます。
『うたたねに 恋しき人を 見てしより 夢てふものは たのみそめてき』
うたた寝した時に恋しい人の夢を見てからは、夢と言うものを頼みにするようになった。
と言った解釈でしょうか。
ただ、解釈にはもう1つあって。
それが、上記の夢の解釈の仕方になるんですが。
うたた寝した時に恋しい人を見てからは、あなたが私を想ってくれていると夢を頼りにしてしまうようになった。
とも訳せるんですよね。
うたた寝なんて、自分でも気付かないうちに眠りについてしまってる訳で。
そんな全く予期していなかった時に、想い人の夢を見てしまって。
夢なんて意識したこともなかったけど、想い人に会える手段になるのならば。
そして、相手も同じ様に自分を想ってくれているのならば。
ただの夢にさえ期待してしまう。
んー、またしても乙女w
でも、恋する乙女ってのは機から見てても可愛いものだと思いますw
そして、もう1つ。
『いとせめて 恋しき時は むばたまの 夜の衣を 返してぞきる』
胸が締め付けられるほどに恋しく想う時は、夜の衣を裏返して着て寝ます。
そんな解釈。
ちょっと殺風景だけど、大体こんな感じでいいはず。
何で夜の衣を裏返して着るのか・・・ってトコなんですが。
夜の衣・・・恐らく、今で言うとこのパジャマのことかと。
でも、さっき調べてみたら当時の寝具の一種とも書かれてました。
“どてら”みたいなものだと思っておけばいいのかな・・・?
掛け布団の上に掛ける・・・的な。
当時の俗説として「夜の衣を裏返しにして着て寝ると、恋しい人が夢に出てくる」というものがあったんだとか。
所謂、おまじないですねw
どうしようもないくらいに恋しい時には、おまじないにすら頼りたくなる・・・ってことなんでしょうw
共感できる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?w
夢の解釈といい、夜の衣の件といい。
いつの時代も、女性の間ではおまじないって流行るものなんですねw
でも、そこに藁にもすがる想いが溢れていて、切なさや微笑ましさを感じます。
皆さんも、夢でいいから逢いたいと思う人がいるなら、是非この方法を試してみてはいかがでしょうか?w
JEKYLL