銀ちゃん誕生日記念小説 (通常ver.) | じゃすとどぅーいっと!

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ヨノナカニヒトノクルコソウレシケレトハイフモノノオマエデハナシ

夢現 ユメウツツ~



10月9日 午前10時。

玄関の戸を叩く音で銀時は目を覚ました。


「速達でーす。」


飛脚から受け取った手紙の送り主は、辰馬だった。



 金時君へ

  おんしゃー、今日誕生日だったじゃろ?

  忘れてるんじゃないかと思ったきに、手紙で知らせてみました。

  それでは、良い誕生日を。 

                         坂本辰馬


  P.S 誕生日おめでとう。あとでお祝い持って行くきに!

  P.SのP.S このP.Sって手紙書くと使いたくなるね(笑)



「・・・笑えるかぁぁぁ!(怒ィィィ)!本文とP.Sが逆、コレ!!人の誕生祝いをP.Sで済ませやがって!また人の名前間違えてるしよぉぉぉ!しかも、誕生日は今日じゃなくて明日ぁぁぁ!」



(あぁ・・・もう、人が気持ちよく寝てたのによぉ・・・よりによって、あのバカのせいで起こされて、挙句すっげー気分わりーよ!・・・はぁ、糖分とって落ち着くか。)


そんな事を考えながら向かった先は、いつものファミレス。


「すいませーん、チョコレートパフェ3つ」


チョコレートパフェを待っている間、イライラしながらも思った。


(・・・そういや、明日俺誕生日なんだっけ。まぁ、別にこの歳になって祝ってもらうことなんかねーよな。)


「お待たせしましたー、チョコレートパフェです。」


運ばれてきたパフェを食べながら、やっと落ち着いてきた銀時の視界に黒い隊服を着た男の姿が映った。


「何で、人の幸せを邪魔するかのように現れるのかねぇ?お前はよぉ・・・」


「なーに、朝っぱらからそんな甘ったるいもんべてんだよ」


「犬のエサ食いに来た奴に、言われたかぁねぇよ。しかも、何ちゃっかり相席しちゃってんの?俺ぁ、座っていいなんて言ってないんですけどー?」


「オメーが一人じゃ寂しいかと思って座ってやったんだろうが!あ、カツ丼ひとつ」


「誰が寂しいなんて言いましたかぁー?テメーと相席するぐらいなら一人の方がマシなんだよ!しかも、タバコまで吸いやがって!あーあ!せっかくのパフェが台無しだよ!」


「・・・いつも以上に覇気のない顔しやがってよぉ。何かあったのか?」


「何ですかぁ?彼女気取りですか、コノヤロー!キショイんだよ!気持ち悪いんだよ!」


「ば、ばっか!人が心配してやってんのに何?!もー、いいよ!もー、わかった!オメーの心配なんて二度としねーよ!」


「心配してくれなんて頼んでませんけどー!あー、もー!せっかく糖分とって落ち着こうと思ったのによぉ!また振出じゃねぇか!どうしてくれんだよ!もー、こんなニコ中のマヨラーとなんか1秒でも一緒にいたくねーよ!行くから!俺もう行くから!」


「・・・勝手にしろ」


「お前、アレな!払っとけよ!俺の分も払っとけよ!」


「誰がオメーのパフェ代なんて払うか!払う理由もないだろうが!」


「理由か・・・。理由ならあるぜ?」


「イライラさせた罰とか言うんだろ?そんな事ぁ、お互い様だ!払う理由になんてなんねーよ!」


「俺ぁ、明日誕生日なんだよ。だから、その祝いだ。よかったなー!銀さんの誕生日が祝えて!世界一の幸せ者だよ?じゃー、よろしく。」


「オ、オイ!テメーの誕生日なんか知るかよ!いい歳して誕生日とか・・・って、オイ!待ちやがれ!」


そんな土方の言葉には耳も貸さずヒラヒラと手を振って、銀時は店を出た。



(ま、タダでパフェも食えたし、ヨシとするか。)


店を出た銀時は当てもなく歩き始めた。


「あーあ、別に行くとこねーしなぁ・・・万事屋帰っか・・・。あ!今日何曜日?月曜日?ジャンプ買って帰ろー」


コンビニに向かって歩き出した銀時は、後ろから声をかけられて立ち止まる。


「おぉ、銀時。どこへ行くんだ?暇ならこれから攘夷志士布教活動でもしに行かぬか?」


「何だヅラか。行かねーよ。俺はジャンプ買って帰って昼寝すんの!」


「ヅラじゃない、桂だ!まぁ、そんな事言うな。一緒に江戸の夜明けを見ようではないか!」


「うるせーよ。ってか、ついてくんなよ!あー、またイライラしてきた!誰かぁぁぁ!いちご牛乳持ってきてー!」


「銀時、お前はまだそんな甘ったるいものばっかり飲んでいるのか。そんな甘ったれた軟弱な物ばかり食しているから、体だけじゃなく心まで堕落してしまったのではないか!」


「あーもー、うるせーって!何?お前はお母さん気取りですか、コノヤロー!いいんだよ!俺ぁ、太く短く生きるの!決めたの!もう、決めたの!」


「銀時・・・」


「あー!何だよ今日はもう!厄日ですか!朝からイライライライラ!あー!もうだめだ!ヅラ!カルシウムだ!イチゴ牛乳買ってこい!あと、ジャンプも!赤マルとか月間買ってくんなよ!」


「何で俺が買わねばならんのだ。そんなもの自分で買って来い!第一、俺が貴様に買ってやる義理などないではないか!」


「義理か・・・。」


言ってふと気付く。


(アレ?この展開さっきも似たような事が・・・)


ニヤリと笑った銀時に、桂は不思議そうな顔をする。


「ヅラ、義理ならあるぜ!俺ぁ、明日誕生日なんだよ!だから誕生日のプレゼントってやつだ!お前の誕生日の時は、無駄に桂強化月間とか桂魂とかで出番譲ってやったんだ、そんくらいしてくれるよなぁ?ヅラ君よぉ?」


「なっ・・・!だからって、プレゼントを買う必要はないではないか!まして、明日が誕生日なら明日渡すのが普通だろう!」


「いーんだよ、そんな細かいこと!俺は今欲しいんだ!いいから買って来い!昔のよしみで誰よりも早く俺の誕生日祝わせてやるんだから、ありがたく思えよ!」


「・・・。」


あまりにも俺様な発言と、桂強化月間での借りがあったせいか、何も言えなくなった桂はしぶしぶコンビニへ向かった。



――数分後。


「・・・これでよかろう。」


戻ってきた桂の手から袋を受け取ると、中身を確認した銀時は笑顔になった。


「ちゃんと間違えずに買ってこれたな。よしよし、お前はやれば出来る子だと思ってたよ。・・・まぁ、今度気が向いたら布教活動でも何でも付き合ってやるよ。じゃーなー。」

「あ、オイ!銀時!」


不満気な顔の桂をよそに、銀時は万事屋へと帰っていった。




(誕生日もなかなかいいもんじゃねーか・・・)


朝からイライラしっぱなしの銀時だったが、パフェをタダで食べれた事・ジャンプといちご牛乳がタダで手に入った事で、すっかり機嫌は良くなっていた。


ドンドンドン。

再び玄関の戸を叩く音がした。


「新八ー!客ー。」


何も反応が無い。


「いねぇのかー?神楽ー?」


またしても反応が無い。


(何だぁ?アイツら。仕事サボってどこ行きやがったんだ?)


ドンドンドン。

客人は再び戸を叩いている。


「ったく、誰だよ。ババァか?家賃ならねーぞ!」


勢いよく戸を開けると、目の前にいた人を見て銀時は目を丸くする。


「お、お前・・・」


「・・・よォ」


「・・・何やってんだ、お前?」


「・・・邪魔するぜ」


「オ、オイ!何しに・・・」


「坂本が手紙を送ってきやがってなぁ。今日はお前の誕生日だとか書いてたからよぉ。」


「あ・・・あぁ。俺のとこにも手紙送ってきたよ。」


「奴もそろそろくるらしいぜ?」


「そ、そうなのか・・・」


「・・・ククッ。銀時、どうした?お前らしくも無ぇ・・・。そんなにソワソワして・・・」


「ハハッ!何言っちゃってんの?銀さんはいつもこんな感じだよ?誰がお前なんかに驚くかよっ・・・!」


「・・・そうか、驚いたか。まさか、俺が来るとは思ってなかったか?・・・ククッ!」


「ッッ・・・!」


高杉の言った言葉が的を得ていたので、銀時は言い返すことが出来ず黙り込んでしまった。


・・・長い沈黙が続いた。

その空気に耐えられなくなった銀時は思っている事を素直に口にした。


「・・・高杉、オメー何のためにここに来たんだよ?」


「・・・。」


「お前がわざわざ俺の誕生日を祝いに、こんなところまで来るわけないよなぁ?」


「・・・。」


「・・・あー!もう!俺がせっかく意を決して聞いたのに、何その態度!初デート中の男子中学生ですか、コノヤロー!」


「・・・・・・しに。」


「あ?何だぁ?聞こえねーよ!」


「・・・訂正しにきたんだよ!」


「・・・訂正?」


訳がわからずポカンとした銀時の顔を見て、高杉は続けた。


「坂本は・・・アイツは人の誕生日とかちゃんと覚えてて、毎年祝いとかもかかさねぇ奴だ。だが、必ずどこかに落ち度がある。それを訂正しにきてやったんだよ。」


「・・・は?落ち度?」


「はぁ・・・。」


「何ですかああ?そのため息!ちゃんとわかるように説明しやがれ!」


「お前の・・・」


「あぁ?」


「・・・お前の誕生日は、明日だろうが」


「ッッ・・・!お前、覚えて・・・」


ガラガラッ。


「金時くーん!お祝いしにきたぜよー!酒じゃ酒じゃ!祝いぜよ!」


突然訪れた訪問者に驚く二人を見て、辰馬は笑う。


「あはははは!何じゃ、高杉も来ちょったがか!あはははは!ほれ、酒じゃ酒!祝いじゃ祝い!」


「・・・あははは!じゃねーよ!オメーは何度言ったらわかるんだ!俺の誕生日は明日!10月10日なの!」


「あはははは!金時!そんな細かいこと気にしちょったらいかんぜよ!さぁ、飲め飲め!」


「だーかーらー!俺の名前は金時じゃなくて銀時ぃぃぃ!何度も同じ事言わせんなぁぁぁ!」


「あはははは!ほら、高杉も飲め飲め!今日は陸奥にいい酒用意してもらったきに!遠慮せんといっぱい飲めー!」


「テメー!人の話聞けよぉぉぉ!」


ドンドンドン。


「すいませーん!銀時君いらっしゃいますかー?」


「・・・銀時、客だぞ」


「あぁ?誰だぁ?今日はやけに客が多い・・・何だヅラか」


「ヅラじゃない、桂だ!」


「お前も辰馬から手紙貰ったんだろ?まぁ、上がれや。みんな来てるぞ。」


「・・・邪魔するぞ」


「あはははは!おぉ!ヅラも来たか!さぁ、飲め飲めー!」


「お前も来ているとはな・・・高杉」


「まぁ・・・一応俺たちはまだ・・・仲間なんだろ?」


その言葉に、久々に集まった四人は顔を見合わせた。

そして、誰からともなく笑い出した。


「ははっ!まぁ、今日ぐらいは仲間って事にしてやるよ!ほら、テメーらみんなプレゼント出せ!銀さんが受け取ってやるよ!」


「あはははは!ホレ!コレはわしからのプレゼントじゃ!珍しいもんらしいぜよ!陸奥が用意しといてくれたんじゃ!あはははは!」


「辰馬!友達の誕生日プレゼントぐらい、テメーで用意しやがれ!・・・で、コレなんだ?」


「あはははは!わからんぜよ!全部陸奥に任せてるきに!あはははは!」


「もう、いいよ!ほら、次!ヅラ!プレゼントよこせ!」


「・・・フッ!俺はさっき買ってやったんだからなしだ!そんなに都合よくもらえると思うな!」


「あー、わかったよ!じゃあ次だ次!高杉!プレゼントよこせ!」


「・・・ククッ。俺がプレゼントなんて用意してる訳あるめーよ!」


「オイ!じゃあ、テメー何しに来たんだよ!誕生日パーティーにはプレゼントもって来るのが常識だろうが!」


「だから、俺は訂正しに来ただけだって言ったはずだ。」


「テメーら!銀さんの誕生日なのに誰一人まともにプレゼントも用意出来てねーじゃねーか!もー、アレな!今日は銀さんが酔いつぶれるまで付き合ってもらうからな、コノヤロー!」


「・・・酒に弱いくせに」

「・・・真っ先に酔いつぶれるだろうよ」

「あはははは!飲め飲めー!」


それから四人は、昔の思い出話をしながら酒を酌み交わした。

永遠にこの時間が続けばいい・・・誰もがそう願いながら・・・


そしていつしか、酔いつぶれた銀時は眠りに落ちていた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



「・・・・・・さん。銀さん!


「銀ちゃーん、起きるアルー!」


二人の声に目を開けた銀時は辺りを見渡した。


「アレ・・・?」


桂・高杉・辰馬の姿はどこにも無かった。

そして、あれだけ飲み散らかしたはずの部屋は綺麗に片付いていた。


「・・・なぁ、新八?アイツら・・・帰ったのか?」


「アイツら?誰か来てたんですか?」


「銀ちゃん、私達がいない間に女連れ込んでたアルか?不潔ネ!」


「・・・。」


ボーっとする頭を無理矢理フル回転させ、考えた。


(アイツら、いつの間に帰ったんだ・・・?部屋も片付いてるし・・・。え、まさか夢?何、アレ夢?え、マジで夢?あんなリアルな?・・・なんだよ・・・夢かよ・・・)


がっかりした銀時だったが、新八と神楽がさっきから何かしていることに気付く。

いつもならとっくに帰っているはずの新八、そしてとっくに寝ているはずの神楽がせわしなく動いている。


「・・・お前ら、何してんの?」


「何って・・・ね、神楽ちゃん?」


「銀ちゃんの誕生日パーティーの準備アル!」


「は・・・?」


そう言われた銀時は時計を見た。

10月10日 午前0時。


パーン!パーン!

時計を見たと同時にすさまじい破裂音がした。


「銀さん、お誕生日おめでとうございます!」

「銀ちゃん、誕生日おめでとうネ!」


驚いて二人を見ると、クラッカーの中身が頭にかかる。


「昨日一日かけて、二人で色々と準備したんですよ!」


「この飾りもコレも、全部作ったアル!」


そう言って、神楽は銀時の頭に三角のパーティー帽子をかぶせる。

そして何故か鼻メガネも。


「か、神楽ちゃん。鼻メガネはいらないって言ったでしょ!」


「えー、パーティーには必需品アル!常識ネ!銀ちゃん、絶対外したら駄目アルよ?」


「いや、それどこの国の常識?あぁ、ほら!銀さんもいつまでもボーっとしてないで、喜んでください!せっかく準備したんですから!」


「あ・・・あぁ・・・」


「銀ちゃんどうしたアルか?嬉しすぎて言葉も出ないアルか?」


「銀さん?何か変ですよ?どうかしました?」


「い、いや・・・なんでもねぇよ!ほら、お前ら!銀さんへの献上品はどうしたっ?」


「献上品はないですけど、僕からのプレゼントはコレです」


新八が差し出したのは特大のホールケーキだった。


「姉上が出かけてる間に作ったんですよ!姉上が手伝ったら悲惨なものが出来ちゃいますからね・・・今日は全部一人で食べてもいいですよ!」


「ほー、新八もやれば出来るじゃねぇか。まぁ、せっかくだから銀さんの胃袋に納めといてやるよ。」


「次、次!私からはこれネ!」


「・・・神楽ちゃーん、何ですかコレ?」


「卵かけご飯券とふりかけご飯券とお茶漬け券ネ!」


そう言われてその紙を見直すと、読みにくいが確かに“卵かけご飯”とか“お茶漬け”とかが書いてあるようだった。


「・・・まぁ、それはわかった。で?どうやって使うの、コレ?使ったらどうなるの、コレ?」


「卵かけご飯が食べたくなったら、その券ちぎって私に渡せばいいアル!そしたら私が特製卵かけご飯作ってあげるネ!ふりかけご飯券もお茶漬け券も同じネ!」


「・・・卵かけご飯って・・・テメーが作る飯はいつもそればっかりじゃねーか!頻繁に食べてんのに、食いたくなる事なんてあるかぁぁぁ!」


「ひどいヨ、銀ちゃん!私が心込めて一生懸命作ったのに!銀ちゃんが給料くれないから、プレゼントなんて買えないネ!」


「ぐっ・・・!」


確かに自業自得で、言葉に詰まる。


「・・・だぁ、悪かったよ。ありがとなぁ、神楽。新八もな。」


「いえ、誕生日なんだからお祝いするのは当然ですよ」


「わかればいいネ!いつでも使うといいアル!」


それから飲んだり食べたりで、散々騒いだ三人はいつのまにか眠ってしまっていた。






目を閉じていても感じるほどの眩しさに、ふと目を覚ました銀時は時計を見た。

時計の針は3時をまわったところだった。


「やけに眩しいな・・・」


そう思い窓から夜空を見上げると、大きな月が出ていた。


「・・・綺麗な月だな。あの時みてーな・・・でけぇ月。」


思い出したのは、攘夷戦争の頃。


銀時、桂、辰馬、高杉・・・

四人が初めて酒を酌み交わしたあの日の事・・・


(いつもは誘っても来なかった高杉や桂が珍しく来て・・・辰馬の部屋で飲んだんだっけ・・・。女の好みとか、これから先の夢とか・・・くだらねー事ばっかり話したんだよなぁ・・・。)


「初めて・・・いや、アレが最初で最後の酒盛りか・・・」


もう戻れない日々を思い目を伏せた銀時は、椅子に腰を下ろした。


その時、“クシャ”っと何かを踏んだ音が聞こえた。


(・・・ん?)


不思議に思い、腰をあげると一枚の紙が置いてあった。



 金時君へ

  結局おんしが先に酔いつぶれたのう。まぁ、わかっちょったが。

  気持ちよく寝ているようなので、起こさずに帰ります。

  誕生日おめでとう!来年もまたくるぜよ!

                         坂本辰馬



大きな字でそう書いてあった。


「アイツ・・・。」


その下にも何か書いてあることに気付く。


 銀時

  貴様にはどうせすぐに会うから、書置きの必要はないと思うが

  まぁ、言い忘れたことがあるから書いておく。

  誕生日おめでとう。

  ・・・今度、攘夷志士の会議に参加しろよ。

                         桂小太郎 



  久しぶりにお前のアホ面が拝めた。

  次に会うのは・・・何処になるだろうなぁ

  せいぜい、その時まで生きてる事だな



「・・・アイツら。・・・夢じゃなかったのか。」


フッと笑った銀時は、月を背にして窓に腰掛けた。


「二十代の誕生日も、なかなか捨てたもんじゃねーな・・・」


右目からは一粒の雫がこぼれ落ちていた・・・



                                      ~完~