☆hopscotch☆
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くもりない澄んだひたいに
ふしぎを夢見るまなざしをした子よ
時はとびすぎ ぼくはきみの倍ほども
生きてしまったけれど かまうものか
きみのかわいい笑顔が歓迎してくれるさ
愛をこめて贈るお伽ばなしを


きみのかがやく顔を久しく見ない
銀のすずふる声も久しくきかない
このさききみの青春に ぼくなんぞ
思い出してももらえそうにないけれど──
いまはぼくのお伽ばなしに耳を傾けてくれる
それでもう十分じゃないか


あの日 ひとつの物語がはじまったのだ
夏の陽のさんさんとふりそそぐなか──
ぼくたちの漕ぐオールのリズムが
単調な鐘の音さながら時をきざみ──
その音がいまだに頭にこだましている
「わすれろ」と ねたみぶかい歳月はいうけれど


さあ きいておくれ おぞましい声が
つれない知らせをもたらして
気のすすまぬ少女を
いやいやベッドへ追いたてるまでは
ぼくたちだって年くった子供にすぎない
ねるときが近づくとむずかるんだよ


外には霧 目もあけられぬ雪
おどろに荒れ狂うあらし──
内にはあかあかと燃える暖炉
おさない日々のよろこびの巣
魔法のことばにしっかりと捉えられて
嵐の咆哮もきみの耳には入らない

〈しあわせな夏の日々〉はやがてすぎ
夏のかがやきは色あせるさだめ──
よしや ためいきの影が ちらちら
物語のなかにほのめいたとしても
ぼくらのお伽ばなしのたのしみに
そんなものが災いひとつももたらせやしない