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急増する発癌村!深刻化する土壌、地下水汚染に苦しむ中国


「発癌村」の現状
3月初に掲載された「がん村」に関する記事は社会各界から大いに注目されています。事情が深刻であるため、政府の反応も今までと異なり、環境汚染が原因でがん患者が多発する「発癌村」が中国全土に100カ所以上存在していることを公式に認めました。今年の「両会」は、今後10年間で環境の修復を強化し、環境汚染の問題を解決するという政府の方針を再度強調しました。


「発癌村」とは、ある期間内に、多くの人が同種の癌に罹り、癌の発病率が急増する村のことです。癌が多発するのは、工業廃水が無害化処理をされずに直接排出され、周辺地域の耕地、地表水、地下水を汚染したことが原因だと指摘されています。


調査によると、工場から排出された廃水には、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、ヒ素(As)等の有毒重金属や有害化学物質を含有し、これらの有毒有害物質が土壌に入ると、農作物の成長を妨害するだけではなく、作物の内部にも侵入します。この汚染された農産品や水を長期間に摂取する村民たちは、癌の発症確率が通常より数倍も高いことが分かっています。


1980年代、資源が豊富で交通も便利である中国の東南部の沿海地域では海外からのアウトソーシング産業がいち早く発達してきました。工業化の進展に伴い、環境汚染の問題も徐々に深刻になり、「発癌村」がこれらの地域で集中的に現れました。その後、産業構造の調整や新技術の導入、環境保護対策の強化及び汚染企業の転出に連れて、同地域の環境汚染問題は大きく改善されました。しかし、環境汚染関連産業の内陸部への移転に伴って汚染エリアや「がん村」も内陸部へと徐々に拡大していきました。 


専門家によると、いったん土壌が重金属に汚染されると、回復は容易ではなく、しかも同地域の地下水源にも多大な悪影響を及ぼすリスクがあり、単純な水質汚染や大気汚染と比べてその除染作業は遥かに困難になります。


2011年に全国の200都市を対象とした地下水質モニターリングの結果によれば、水質が「比較的悪い」又は「極めて悪い」地下水源の比率が55%に達し、そのうち15.2%の被調査地下水源については前年度と比べて水質が更に悪化しています。ただでさえ水資源が乏しく、しかも地表水源が深刻に汚染された中国にとっては、土壌と地下水源の汚染は関東大地震の直後に日本で発生した核放射汚染よりも遥かに深刻な災害だと指摘されています。


現在、中国の農地の10分の1以上が汚染され、毎年1,200万トンもの食糧が汚染のために廃棄され、経済的損失が200億元(約2500億円)に達しています。土壌と地下水源の汚染はまた住民の健康にも大きな危害を与えています。


重金属汚染の酷い湖南省株洲市では、住民の血液や尿の中から通常の2倍から5倍ものカドミウムが検出され、内モンゴル自治区河套地区では地下水汚染で2000人がヒ素中毒、遼寧省の錦州市と葫蘆島市一帯では土壌がカドミウムや鉛、亜鉛で汚染され、イタイイタイ病の患者が激増しました。


環境汚染による経済発展と人体健康への危害を抑制するために、中国政府は止むを得ず一連の対策措置を講じ、「十一・五国力発展計画」(2006~2010年)の期間に、工業廃水を処理するだけで821億元(全国の汚染対策資金総額の約3.8%に相当)を投入したが、この巨額の資金投入に対して期待した効果が見えなかった。


土地は国家の根本であり、14億の人口を抱える中国は1人当たりの耕地面積と住宅用地面積が少ないため、たとえ汚染された土地でも、何らかの処理を行って再度開発、利用せざるを得ません。例えば北京市広渠路15号の土地は化学工場の跡地だったが、汚染除去の措置を施して高級マンションの建設に利用されました。その後の汚染被害状況は不明ですが、汚染された土地で住宅団地を建設する不動産開発事業が後を絶たない現状です。


土地と地下水源が深刻に汚染されたのは、経済活動による悪い結果であると同時に、関連法律の欠如もその原因の一つです。中国では1993年制定の『地下水品質基準』と1995年制定の『土壌環境品質基準』が土壌関連の環境基準として存在するのみで、いまだに土壌汚染防止に関する法律は存在せず、環境保護関連法規に空白を作っています。


中国で新たに土壌汚染防止に関する法律が起草されつつあるという話は数年前から度々報じられているものの、進展が遅く、効果的実施はまだ遠い将来のことになると思われます。


大都会の土地不足を解決する対策として、現在都市にある大部分の工業生産企業を郊外の農村部に移転することは国家の経済発展計画で定められています。しかし、汚染防止に関する法律による拘束力が弱ければ、新設工業区の周辺の土地がまた汚染され、経済発展の新たな犠牲になると予見されています。


土壌・地下水の除染プロジェクト
現状を改善するために、政府は汚染対策への資金投入を更に強化し、2011~2020年の期間に農村部の水利項目に4兆元(約64兆円)を投じる計画で、他に中央と地方政府による2000億ドル超の資金をその他の環境対策事業に投じる計画もあり、つまり2020年までに合計8500億ドル(約80兆円)の資金が環境汚染対策事業に投入され、そのうち595億元が重金属汚染を改善する専門資金として運用することになっています。


環境対策事業の進捗状況からみると、農村部では関連資金の導入メカニズムが確立されておらず、対策事業に必要とされる資金は国家又は地方政府の公的資金に頼るしかなく、また植物やバイオ技術を利用した土壌改良は非常に時間かかる作業であるため、対策の効果があまり目立たないのが現状です。


農村と比べて都市部の土壌と地下水源の除染事業は住宅開発産業の進展により強く推進されています。特に化学産業や製薬産業などの工場が都市から移転された後、土壌が深刻に汚染されて直接利用できない跡地がたくさん残ったため、ディベロッパーが安い値段で政府からその土地を購入し、専門業者に委託して迅速な除染を行ってから住宅を建設するプロジェクトが多数ありました。


ディベロッパーにとっては土壌改良のためのコストは高いが、土地取得費用が安く住宅の販売で高額の利益が確保できるため、旨味のある商売となります。不動産企業の参与により都市部の土壌と地下水源の除染は順調に進んできました。


現在、土壌と地下水源の除染産業は既に調査評価、除染工事、関連コンサルタント、第三者による検証を含む産業チェーンを結成しており、そして多くの企業が環境モニターリングの分野に参入し、環境当局の専門機構を主力とし、資格のある民間企業が協力する環境モニターリング市場を形成しています。


但し、資格取得に要する期間が長く、関連手続きも煩雑なため、環境モニターリング機構は主に国内企業で構成されており、海外企業の参入が少ないのが現状です。


一方、国内の汚染対策技術はまだまだ低いレベルに留まり、環境モニターリングに使用する計器類や、汚染修復用設備、必要な化学薬品、関連の対策技術などは海外から輸入しなければならないのが現状です。


環境汚染を軽減させるために特に重要なことは汚染源の減量化で、如何にして有害物質の排出を減少させるかは、各級政府が直面しなければならない重大な課題です。中央政府、地方政府、企業の共同出資により、工場の既存設備を改良し、汚染水と有害排ガスの浄化施設を増設し、工業廃水及び産業廃棄物の浸出液の排出を減少させることは土壌と地下水源の汚染を抑制する効果的方法だと考えられています。それ故、各種の工業用汚水浄化設備は非常に大きな市場ニーズがあると推測されています。
 
なお、汚染が酷い「がん村」の患者たちに必要な医療支援を提供するために、癌や他の病症の治療用薬品の調達も当面の急務となっています。


土壌と地下水源の修復は非常に困難で時間のかかる仕事で、莫大な資金と人力を投入する必要があります。しかし、放置すれば、将来は予測できない重篤な災厄を招き、国家全体を犯す進行癌となるでしょう。中国政府は今後10年間の対策を策定したものの、効果が出るまでには少なくとも20年以上の時間が必要と見込まれています。そのため、関連産業は今後かなり長期間にわたり、その発展の趨勢を保持できると専門家が予測しています。


当然、環境分野において先進的な日本企業にとっても、中国において優位性を発揮する大きなチャンスが到来していると言えます。