算数を学ぶ意味は

前回、算数はお金の勘定など実生活に必要で、避けては通れない。などと書きました。

でも、算数を学ぶ意味はそんな実利的なことだけではないと思っています。

算数は経済的なことを理解する上で役に立ちますが、算数の世界(あるいは数学の世界)はもっと広くて深いものです。

 

例えば、算数と音楽の関係について、考えてみましょう。

 

西洋の音楽、音律というものを最初に考えたのはギリシャの数学者、ピタゴラスです。協和音を生じる弦の長さが簡単な整数比(2:1、3:2、4:3)になっていることを発見しました。そこから、ピタゴラス音階が生まれ、その音階が改良され、西洋音楽の12音階が出来てきました。

 

楽器の調律ではラの音が使われます。その場合のラの音は440Hzで、基準周波数と呼ばれているそうです。音は空気の振動によって生じますが、Hz(ヘルツ)とは音が1秒間に何回振動しているかを示しています。調律で使うラの音の1オクターブ高い音は440✖️2=880Hzです。440Hzと880Hzの間を(つまり、1オクターブを)2の12乗根して平均化し、12音階を作ります。(平均律音階)

440 ✖️ 2^(n/12) この計算によって、各音の周波数が決まります。

 

音楽の時間で、全音とか半音とか習いませんでしたか?

ハ長調のド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドは全・全・半・全・全・全・半

などと覚えましたが、何のことかわかりませんでした。

半音とは12分の1乗、全音とは12分の2乗のことを表していたのです。

 

 

赤ちゃんの産声の音を周波数で表すと、おおよそラの音(440Hz)だそうです。

ラの音(440Hz)は、人間が聞くことのできる低い音と高い音の真ん中くらいだとのこと。

 

人間が聞くことのできる音を周波数で表すと、20Hzから20,000Hzだと言われています。

これを二のべき乗で表すと、

2^4=16

2^14=16,384

なので、およそ二の4乗(16Hz)から二の14乗(16384Hz)くらいです。

4乗と14乗の真ん中は9乗だと考えると、二の9乗は512、二の8乗は256ですから、

440Hzというのは、20Hz〜20,000Hzのおおよそ真ん中くらいになりますね。

 

音を波の形で表した波形の中で最もシンプルなものを正弦波などと言いますが、これはサインカーブのことであり、サインとはsin 三角関数のサインです。すなわち、三角関数が使われています。

 

身の回りで聞こえる音を周波数という観点で捉えると、音や音楽と数学が関係しているように思えませんか?

 

このような、音楽と算数の関係を知ると、算数を学ぶということが、単に金勘定に役立つというだけではない、ということがわかります。