S&P500に連動するETFのお勧め②
世界の株式市場の時価総額合計を調べると、およそ111兆ドルでした。そのうち、米国の株式市場の時価総額が51兆ドルで、全体の46.2%です。
株式市場の主要な投資家はブラックロックのような投資ファンドと年金基金です。私は、年金基金の影響力に注目しています。OECDの統計によると、世界の年金基金の規模は60兆ドルくらいです。
年金基金が非常に大きな規模であることがわかります。では、どのような年金基金があるのでしょうか。
上記のサイトを見ると世界の年金基金ランキングがわかります。何と1位は日本のGPIF(厚生年金と国民年金の積立金を管理運用する組織)です。2位はノルウェーの年金ファンドで、3位は韓国の年金基金、4位にアメリカのFederal Retirement Thriftというファンドとなっています。
これだけ大きなファンドですから、その影響力は絶大です。例えば日本のGPIFは資金規模が1.7兆ドルです。これだけでも大したもので、もしGPIFが運用方針を変更したら、それだけで巨大な金額が動きます。ですが、動くのはGPIFの資金だけではありません。ここが重要な点ですが、日本では、GPIFが運用方針を変更すると、それ以外の年金基金も右へ倣えとばかり、同様の変更をする傾向があります。
日本には、GPIFだけでなく、数多くの年金基金があります。公的なものだけでなく、企業が独自で実施している企業年金がたくさんあります。主な大企業は皆、企業年金制度を保有しています。その資金規模の詳細は不明ですが、合計すると極めて大きな規模になることは間違いありません。
それら年金ファンドの運用は、個々の企業が実施しているわけですが、運用のプロではなく、人事部や経理部の部長などが担当していることが多いのです。運用経験のない人が、人事異動などでたまたま担当している、というケースが大半です。要するに、(運用経験の乏しい)サラリーマンが年金基金の運用を行っているのです。
企業年金ファンドの積立金は、企業のOBや従業員の退職後の生活を支える重要なファンドですから、その運用は慎重に行う必要があります。一方で、今のような低金利では、国債などの安全資産に投資しても資産は増えません。やはり、株式にかなりの割合を投資することになります。では、どの会社に投資すれば良いのか?どのような投資方針に基づいて投資するべきか?そんなこと、サラリーマン担当者が単独で決められません。
ではどうするか?GPIFの運用方針を参考にしよう、同じような投資方針にしておこう。となります。私はかつて年金運用に関係する仕事をしており、多くの企業担当者と面談しましたが、どの年金ファンドも似たような考え方、方針で運用しています。まず基本となるポートフォリオを定めます。その次に、資産ごとに投資のベンチマークを決めて、そのベンチマークを上回ることを目指す、あるいは、ベンチマークから大きく負けない運用スタイルを取ります。
これが年金基金ファンドの基本となる考え方で、おそらく世界中の年金基金ファンドは同様の運用スタイルをとっています。