個人投資家、中でも資産額が少ない、投資をこれから始めようと考えている人には指数に連動するETFをお勧めします。その理由は、指数連動型ETFのパフォーマンスが多くの株式のパフォーマンスを上回る可能性が高いからです。ここでいう指数とは、米国のSP500とか、日経225(日経平均)など、マーケットを代表する指数のことです。

 日経平均が2割上昇した、と聞くと、多くの人は日本の株式の半分くらいが20%近く上昇した、と感じるのではないでしょうか。でも実際は事情が異なります。

昨年の2月から今年の2月にかけて、日経平均は22%上昇しました。日経平均は225の企業の株式から算出されます。調べてみると、その225の株式のうち、22%を上回ったのは53社だけでした。日経平均は225の会社の株価の単純平均で、株式単価の高い株式の影響を大きく受けることになります。単価の高い幾つかの株が大きく上昇すると、日経平均の値も大きく上がります。日経平均は時価総額の加重平均ではないので、マーケットの状況を正確に反映していない、との批判があります。

 それではSP500はどうでしょうか。SP500は米国の代表的な株価指数であり、時価総額加重平均株価指数です。時価総額を加重平均しているので、マーケットの実態をより正確に表していると考えられます。昨年の2月から今年の2月にかけて、SP500は24%上昇しました。調べてみると、500のうち、24%を上回ったのは150社でした。時価総額の大きい幾つかの株が大きく上昇すると、SP500の値も大きく上がります。

 いずれの指数においても、指数そのものの上昇率は全体の中でかなり上位に位置しているのです。このことはいつでも成り立つわけではありませんが、よく見られる現象です。指数に連動するETFに投資しておけば、個別株に投資するよりも高いパフォーマンスを得られる可能性が結構高いと思います。

 もちろん、指数をはるかに上回るパフォーマンスを達成する株があります。そのような株をうまく見つければ、大きく儲けることができるでしょう。でも、それはとても困難なことです。プロの投資家が血眼になってそのような株式を探していますが、熟練の、ベテランのプロでもそういった株を見つけることは困難です。マーケットにも流行があり、あるときは人気があって上昇した株式が突然人気がなくなり勢いを失う、といったことは日常茶飯事です。プロでも困難なのに、一般の個人投資家にできるとは思えません。

 その点、株式指数に連動するETFならば、個別株を選ぶよりはるかに簡単です。しかも、平均以上のパフォーマンスを得られるのだとしたら、個別株に投資する意味があるでしょうか。個別株は時として大きく下落し、最悪の場合、会社が倒産して無価値になるリスクもあります。しかし、指数連動型ETFならばそういった心配はありません。一時的に大きく下落したとしても、必ずどこかで反発します。

以上の理由により、我々個人投資家は、まずは指数連動型のETFに投資することが賢明だと考えています。