文豪トルストイの大作、「戦争と平和」を読了した。読むのに半年くらいかかったが、当初思っていたよりは早くよめた。岩波文庫の新訳で読んだが、とても読みやすかった。登場人物の解説や戦争の地図、部ごとの要約などがあって、長いストーリーを理解しやすいような工夫がされている。
物語の最後にエピローグとしてトルストイの独特の歴史観がまとめられている。読んでいる途中では気がつかなかったが、読んだ後振り返ってその歴史観を読むと、トルストイがストーリー中、意図的にその歴史観を挿入していることがわかる。
歴史は一人の英雄の意思で形成されるのではなく、なんらかの必然性によって起こるべくして起きるというその歴史観は新鮮で深く考えさせられる。たとえば、ナポレオンがロシアに攻め入ったのは、ナポレオンがそう望んだからではなく、なんらかの原因によりそうせざるを得なかったからだという。人間は自分の意思に基づいて自由に行動できると思っているが、実はそうではなく、なんらかの必然性により、そう行動せざるを得ないので、そのようにする。という。
このような自らの歴史観を提示するためこの長い作品が作られたのだろうか。あまりに長すぎて全体が把握できず、最後のエピローグがなければきづかなかっただろうと思う。しかし、そういった思想は別にしても、文学として十分に面白い作品であり楽しめる。
読書が好きで読書が趣味だと思っているのに、これまで読んだことがなく、一度は読んでみたいと思っていたが、長いし難しそうで、なかなか読む気になれない作品だった。何とか読了できてよかった。