ヒロポンの本棚

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ヒロポンの本棚にある本の紹介

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小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)
小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)
メディアファクトリー 2007-11-14
売り上げランキング : 932

おすすめ平均 star
starいいっ!!
star区切りの物語
star新海誠の心象スケッチ

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新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of thet longing for memories~
新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of thet longing for memories~
講談社 2008-04-24
売り上げランキング : 5456

おすすめ平均 star
starキレイー!
star本編が先かこれが先か
star映像へに入口として

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「秒速5センチメートル」という短編アニメーション映画をご存知でしょうか?

最近某国でのパクり疑惑が話題になりました。

僕はこの作品がとても好きで、最近またDVDを見たんですが

やっぱり何度見てもいいですね。鳥肌が立ちます。

ストーリーといえば、単なる失恋物と思われがちですが

テーマは"距離""速さ"そして"日常"。

きっと見る人それぞれ、自分の思い出を物語に投影するのではないでしょうか。


映画っていう映像作品は、ストーリーや台本、役者、音楽、衣装等様々な要素どれ一つ欠けても

良い作品は生まれないと思うのですが、個人的にこの作品は全てのバランスのとれた名作だと思ってます。

自主制作レーベルで創られた作品とは思えません。

主題歌の山崎まさよしの"One more time, one more chance"も絶妙。

偏った目で見られがちなアニメ-ション作品ですが

経験ない方も是非一度見て頂いて、同じ気持ちを共有してもらえると嬉しいですね。



そこで今回紹介するのはその「秒速5センチメートル」の監督である新海誠氏の作品達。

何を隠そうこの方、筆の方も達者です。

ご存知の方もいるとは思いますがあの文学誌"ダヴィンチ"で連載されていた

「秒速5センチメートル」の小説版。

映像作品の小説版というと商業戦略がちらちら見えてあまり良いイメージがなかったのですが

今回は監督自らが執筆という事で、少し状況が違う。

作品の出来は色々言われるところがあるようですが、個人的には好きな作品の一つです。

本文中で筆者も述べていますが、やはり映像作品で語れる事と文字を通じて語れる事は違っていて

全く同じ世界観が表現されているわけではありません。

映像では絵から抽象的に汲みとる事も言葉では否応なく叩きつけられるわけで、

そこに微妙な違和感を感じる事もあるでしょう。

もし、映像作品の方の世界観を大切にしたい方はあまり見ない方がいいかもしれません。

ですが、一方言葉で規定される分登場人物の心の機微を知る事が出来たり

映像作品では語られなかったストーリーもあったり、映像作品と小説が相互補完になってる面もあります。

これ読むと、ラストシーンとか大分印象変わりますね笑


そしてもう一つ、新海氏の背景美術画集です。

新海氏は監督ですが、同時に背景美術も担当してます。

この作品の最大の魅力は美しい背景にあると言えば多くの人に納得してもらえるでしょう。

リアルなんだけどリアルじゃない。人の印象に残る部分を描く。

この作品の一つのテーマである"日常"が背景美術に活きています。

B5判という事でサイズが小さいという声もあるようですが

個人的にはかなり満足しています。まあもっと大きいサイズで見れるなら見たいですが。

作品の制作手法なども細かく載っていて、そちらに興味のある方も満足するはず。

本画集は、新海氏が自主制作で活動した"ほしのこえ"から"雲のむこう、約束の場所""秒速5センチメートル"

そして最近信濃毎日新聞のCMで使われた背景美術作品が収められています。


一気に時の人となった新海氏。

最近では大成建設(地図に残る仕事ってヤツ)のCMなどで新海氏のレーベルが活躍してるみたい

(新海氏は参加してないみたいだけど)。

これから大注目のクリエーターです。



文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)
文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)
講談社 2002-09
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おすすめ平均 star
star大ボリューム
starここまで複雑な事件をよく考え出したなあと感心しました。
star女性と日本文化についての考察。

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京極夏彦、百鬼夜行シリーズ第五段。

全作「鉄鼠の檻」で文句なしの最高傑作を送り出した京極氏。

にも関わらず本作はその勢いに負けじ劣らずの秀作になっております。

そのページ数、なんと800ページ強(新書なので文庫では1000ページ超?)。

そんな大作を創る事も凄いけど、それを飽きさせる事無く次へ次へと進ませる構成力の凄さ!

京極氏の才能に脱帽しております…


全作、箱根僧侶殺人事件の後

東京、千葉、神奈川で起こる

眼潰し魔、絞殺魔事件、売買春組織-

まるで違う事件と思われた先に見える"蜘蛛の糸"

果たしてその背後に潜む"絡新婦(じょうろうぐも)"の正体とは?


今回は過去の事件も絡んできて、かなり壮大なスケールで話が展開されます。

その背景にあるのは、"文化における性差"について。

女性と日本文化に関する民俗学的な考察がなされています。

日本社会における女性の立場。

キリスト教やユダヤ教、仏教、そして日本古来の自然宗教の側面から紐解き

歴史的な背景を絡める事によって

性差を越えた人の尊厳の本当の意味が説かれています。

一つの側面からしか見れていない価値観が如何に脆いものか。

このシリーズを読む度にそれに気付かされます。


のっけから京極堂と絡新婦との対談から始まるのに度肝を抜かれますが

きっと最後の一行を読む時にはそんな事は忘れてるはず笑

読み終わった後、是非もう一度序章の再読をお薦めします!



あと、あのAmazonレビューで38件中31件五つ星、他四つ星て…

誰の文句もつけようのない傑作!!!









四季
四季
講談社 2004-03
売り上げランキング : 295788

おすすめ平均 star
starさまざまなストーリーを無理して繋いでいる意味は?
star森節炸裂
star静かな余韻

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森博嗣氏シリーズ作品の交差点ともいうべき作品。

森氏のデビュー作である「すべてがFになる」で強烈な個性を見せた真賀田四季を中心に据え

S&Mシリーズ、Vシリーズで明かされなかった謎が解き明かされます。

真賀田四季は前シリーズ中で"天才"として描かれていますが

本作ではその視点から話が展開されますので、"天才"の思考がトレース出来ます。


「春」は、四季幼少期の物語。

「夏」は、「すべてが~」で語られる両親殺害に至るまでの物語。

「秋」は、時系列で見てS&Mシリーズ以降の物語。ここでS、M、Vが交錯する。

「冬」は、100年後の四季。


春、夏、秋まではいままでの作品のある種解答的な物語で

冬は"天才"というモノに対する森氏の一種の哲学が描かれています。

個人的に”冬”はついていけませんでいたが汗

あと、ミステリー的要素はほぼないと思われます。


個々の作品というよりは、S&M、V、その他短編集も合わせて総合的に魅せる

森先生の構成力とセンスに脱帽です。


さてさて、次は何のシリーズを読もうかしら


赤緑黒白 (講談社ノベルス)
赤緑黒白 (講談社ノベルス)
講談社 2002-09
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おすすめ平均 star
starVシリーズの終焉。最後は色シリーズ。
starVシリーズの行方
starこれは…

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森博嗣氏、Vシリーズ十作目にして最終章。

死体がペンキで一色に塗られるという猟奇連続殺人事件。

シリーズおなじみ瀬在丸紅子らが事件を巡って奔走する!


Vシリーズ読破!意外とあっさり終わってしまってちょっと拍子抜けかな?

ミステリーとしては、ぶっちゃけ二の次になってる感は否めません。

S&Mシリーズから続くストーリーの伏線が本シリーズの意味なのかと。

最後には毎度の如く大きな謎を残して終わってくれましたが、

この作品自体、次の「四季」シリーズの伏線みたいなので

これから急いで読み進めていこうと思います。


でもこの伏線のお陰で、このシリーズ読み始めた当初から持っていた推測が

正しかった事が確かに!という事はあれがあれでこれがこれで…

本シリーズ中盤のあの作品中の謎も大体見えてくるんではないでしょうか??


次は「四季」シリーズを読み進めます!

Blue-中村佑介画集
Blue-中村佑介画集
飛鳥新社 2009-08-11
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おすすめ平均 star
starASIAN KUNG-FU GENERATIONが好きなら

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今回はちと趣向を変えて

イラストレーター、中村佑介氏の画集を紹介。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの音楽CDのジャケットや

森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」等書籍のカバー絵とか描いてる方ですが

この度初画集を出したという事で、衝動買いしちゃいました。

どんなイラストを描く人なのかは、ググれば一杯出てきます。


この画集は大学時代(大阪芸術大学)の作品から最新の作品まで

ほぼ全作品網羅されてるらしく、氏のセンスの結晶といえる代物。

ファンにはたまらない画集ですね。でもなんでBlueなんだろ?


一つの絵に物語性があるのが氏の作品の特徴で

いつも一人絵を見ながら妄想に浸っております。

個人的には、最近の奇抜なデザインも目を見張るものがあるのですが

大学時代の作品がすごく好きで、

定規を使わないラフなタッチが今の作品とは少し違う印象を与えます。


昔は、絵を描くの好きだったなあ

とか懐かしんでしまったりして。。。





理工学系からの脳科学入門
理工学系からの脳科学入門 合原 一幸

東京大学出版会 2008-08
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ずっと以前から興味があった脳科学。

自分、一応理工学系の学生やし、入門書ならいけるっしょ

みたいな軽いノリで手に取ってしまった本書ですが

すみません、甘く見てました。。。

やっとこさの思いで、読み切りましたよ。(途中挫折した期間もありました)


東大工学部のテキストだけあって、生物学、医学、工学、ロボット工学、マーケティング工学等

様々な分野に跨って注目を浴びるニューロンサイエンスが余すところなく紹介されています。

一般の脳科学入門書と違って、入門から一歩踏み込んだ理論的な話題や応用科学の紹介まで

されているので、これ一冊読めば幅広い上に少し深い知識を得る事が出来るでしょう。


構成も良く考えられていて、四部構成になってます。

一部は脳を数理工学的観点から解説します。

ニューロンの働きを説明する上で欠かせない幾つかの数理モデルを紹介。

ニューロンの発火のメカニズムや同期現象が微分方程式や力学の初期値問題として扱われるのには

不思議な感動を覚えます。ちなみにしょっぱなから挫折しかかりました。笑


二部は一部より巨視的に脳を捉えて、計算論的観点から解説します。

人間の脳は色々な領野に分かれていて、それぞれが連結して一つの結果が出力されます。

それぞれの計算がどのようにコードされ、回路を形成するか、とりわけ「視る」事に焦点あて、紹介してます。


三部はちょっと趣を変えて昆虫の脳の紹介。

昆虫の脳は人間の脳とは違い、分散型の少ニューロン系の神経系を持っているそう。

全く違う構造と思いきや、進化の過程をみると、それは哺乳類との分岐の一つの形らしい。

昆虫の持つ時間間隔やスケール感の違いが面白いです。


そして最後の四部は脳を創る、という事で、応用科学の紹介です。

今までの研究で明らかになった様々な神経科学的発見を応用して、人工的にそのシステムを模倣しよう

という試みが多方面でなされています。例えば視覚や聴覚の障害の克服などがピックアップされてます。

これらの分野は工学的な発展と二人三脚であり、MEMS技術等良く耳にする技術も応用されているよう。



実際、分からないところはなるべく納得いくまで考えたり調べたりして読み進めていったつもりですが

まだまだ理解出来てる気がしません笑

多分もう二度、三度読む込む事が必要なんでしょうね。

でも、読んでるとわくわくしますよー

興味ある人はおすすめです!

きつねのはなし (新潮文庫)
きつねのはなし (新潮文庫)
新潮社 2009-06-27
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おすすめ平均 star
star今までに無い森見登美彦
starナニやらうっそりと潜んでおります
star美しくてぼんやりとしたはなし

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放置しててすみません汗

やっと時間が出来ました。ちょくちょく更新します。。。


「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話体系」「太陽の塔」で

京都を舞台に独自の世界を炸裂させた注目の作家、森見登見彦。

待ちに待った最新文庫作であります。


…が、今作はどうやら様子が違うらしい。

あの回りくどい文学口調もなければ破天荒な登場人物も登場せず。

ちょっとがっかりな感が否めません。

四つの奇譚談から構成されていますが、コミカルな京都ではなく

背筋がうら寒くなるような京都が描かれております。

あんなに強烈な三作を見た後となると勝手な先入観があるせいか

ちょっと読んでて違和感があります。

無理して怖い感じにしてるような、どこか中途半端なような…

なにやらいつもと違う感じでやってみたけど

結局掴めずに、普通の作品になってしまった、という印象を受けてしまいました。


「裏の」京都、次回作に期待です。






君に舞い降りる白 (集英社文庫)
君に舞い降りる白 (集英社文庫) 関口 尚

集英社 2007-09-20
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おすすめ平均 star
star支え合い生きる姿を描く青春小説
star集英社文庫のナツイチ、2008夏の一冊に選ばれていたので
star「悲しみの中で身につけた潔癖さ」

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こてこてな恋愛小説な香りがして敬遠してたんですが
同作者の「プリズムの夏」がとても肌にあったので意を決して読んでみました。

岩手県にある鉱石店が舞台の青春ストーリー。

そこでアルバイトをしている修二は過去に恋愛の傷を持っている。

もう二度と恋愛はしないと心に決めていたが、

客として店に来るようになる、雪衣が気になり始める。

隠れ家のような鉱石店を舞台に綴られる人間模様、成長物語。


まあ、こてこてな恋愛小説ではあるんですが…とても話がきれいです。
舞台が隠れ家的な石の専門店という事もあって鉱石の話しがところどころに散りばめられていて、

その描写もきれいで幻想的で、癒されます。

また、岩手県が舞台なので、風土の描写も細かくされていて、

そういった話が大好きな自分にとってはとても満腹。

関口尚特有の読後感の清々しいお話です。

プリズムの夏 (集英社文庫)
プリズムの夏 (集英社文庫) 関口 尚

集英社 2005-07-20
売り上げランキング : 106276

おすすめ平均 star
star憧れや現実を書き表した作品。ネタばれしない程度に
star作品に深みがない
starついて行きたい作家が増えました

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関口尚氏のデビュー作品にして小説すばる新人賞受賞作品。

高校生最後の年に起きたとある出来事。

主人公の植野は親友の今井と映画館に映画をよく見に行っている。

その映画館で販売員の女性、松下さんと知りあう事に。

ひょんな事から再び再会を果たすが、その彼女にとある疑惑が…


高校三年生という、大人への階段を上り始める年頃の微妙な心情の機微を

見事に描き切っている名作だと思います。

好きな人へのまっすぐな想いとか、理想と現実のギャップに対する絶望とか…

個人的にこの作者の文体が肌にあったので、これ以降の作品にも注目するようになりました。

200ページに満たない中編小説なので、あっという間に読めます。


空をつかむまで (集英社文庫)
空をつかむまで (集英社文庫) 関口尚

集英社 2009-06-26
売り上げランキング : 9133

おすすめ平均 star
star空を見つめて
star本当にいい本なので、オススメしたいです。

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青春小説の名手、関口尚の文庫最新刊。

坪田譲治文学賞受賞作品。

来年には市町村合併で無くなってしまう美里中学校。

廃部寸前の水泳部には優太、モー次郎、姫の三人だけ。

その三人がひょんな事からトライアスロン大会に参加する事に。

それぞれが他人には打ち明けられない心の枷を持っており、

トライアスロンを軸にそれぞれの心情が交差、交わっていく。

その先に見える、希望の光。

関口尚は兎に角、思春期の心情の描写が上手いと思います。

この作者の作品は、理屈抜きに心に希望を持たせてくれます。

友情っていいなあ、と素直に感動してしまいました。

中高生向けの青春小説ですが、あの頃のまっすぐな心を思い出したい大人に是非読んで貰いたい!

読後感の半端ない爽やかさは健在です。

是非とも読んで貰いたい一冊!