春の日差しとばかりに梅の花もほころび始めましたがまだまだ寒さ厳しい日々です
1月も終盤ですが・・・
2018年、今月から1年かけて、月一曲づつ私のジャズアルバム「DRAMATIC MOMENTS」をあらためて御紹介していこうと思います。
このアルバムは全12曲収録されているので月一曲づつの御紹介でちょうど一年で完了予定です。
このアルバムはジャズの括りではありますが、結果そこに収まりきれないアルバムになりました。
選曲がジャズスタンダード曲以外のビートルズの曲やシャンソンの曲。映画音楽も含まれています。
このアルバムを作る時私が一番思ってたことは、「1曲1曲情景が浮かぶように・・・音楽でありながらオムニバス映画のように表現したい」ということでした。季節感、空気感、温度など...様々な想像が膨らむような、聴覚だけでなく五感に響くようなアルバムにしたい・・・と。
『「DRAMATIC MOMENTS」をもっと楽しめる聴き方講座』と題しましたが、私の曲への思い、曲とのつながりを綴ろうと思っています。
まず第一回目はアルバムトラック1から『A Nightingal Sang In Berkley Square』(バークリー・スクエアのナイチンゲール)
私はこの曲が本当に好きです。ジャズというとアメリカというイメージがありますが、この曲はジャズスタンダードでありながらイギリスの香りがいっぱいの曲なのです。
ロンドンにバークリースクエアという公園があります。この公園自体は名所というほどではないのですが、特徴としてはメイフェアという高級住宅街の中にあって、そしてまた高級ブランド店が立ち並ぶボンドストリートからもすぐそば。高級車のアストンマーチンのお店もすぐ前にあるし。立地がとてもハイソな雰囲気です。
A Nightingale Sang In Berkley Squareの歌詞の内容は、このスクエア辺りでの出来事、ある晩の恋人同士のロマンティックな出会いについてが歌われています。お月様もあきれるくらいこの恋人同士はラブラブ。うっとりな心持ちで夜通しメイフェアを散歩して、やがて明け方になるとバークリースクエア辺りではナイチンゲールが美しい声で鳴き始め夜明けを告げる。
ナイチンゲールは本当に美しく鳴きます。鶯のようにホーホケキョと決められたフレーズで鳴かず、鶯がアドリブで歌ってるみたいな・・・。ロンドンのカウントダウン花火の帰り、ナイチンゲールのニューイヤーの喜びの声を聞いたことがあります。
このところ毎年バークリースクエアに足を運んでいます。曲と共にこのバークリースクエア、そしてロンドンにすっかり魅了されています。
この冬はスローンスクエアにあるピータージョーンズでベッドカバーを買った帰りに路線バスに乗ったら、たまたまバークリースクエアを通りました。寒くて人が全くいませんでした。春に行った時はランチを食べたりベンチや芝生の上でお昼寝したりしている人でいっぱいでしたけど。
はてさて...
「DRAMATIC MOMENTS」のレコーディングは1日で終えたのでした。12曲を1日で録ることは今思えば大変な事でした。
サウンドチェックを終え、さぁ歌録り。迷ってる暇はなく出たとこ勝負。瞬時にどれだけ曲の世界にフッと入り込めるか...
A Nightingale Sang In BerkleySquareのレコーディング時。実は最初の自分のプランよりだいぶテンポが遅かったのです。しかし戸惑いも束の間、 やけにテンポのゆっくりなイントロを耳にした途端A Nightingale Sang In BerkleySquareという曲を一瞬にして掴めたような気がしたのです。プラン通りにいかなかった事が結果功を成したような気がしています。
恋人同士の夢なの現実なのか、また時間さえもわからなくなってしまうような、幸福一色のひと時。この雰囲気に相応しいまったりとしたテンポ。
この曲との初めての出会いは、私がジャズを習い始め少し経った頃。私の当時の師匠であるジャズシンガーの鈴木道子さんに勧められてでした。その当時の私にとっては歌詞も長くなかなかの難曲。チャレンジでした。10年くらい前でしょうか...道子さんとジャズピアニストの橋本麻里子さんにお稽古をつけてもらっていたのです。
本当に懐かしく、当時の思い出もいっぱい。お稽古の後3人で焼き鳥屋さんに行って、その晩は大雪になってしまい帰れなくなって麻里子さんのところに泊めて頂いた事もありました。この時、麻里子さんがお好きだったマークマーフィーのCDを聴かせていただき、それが私のジャズにヒートアップするきっかけの一つにもなったのでした。
道子さんがこの曲を勧めて下さって、歌うたびにどんどんこの曲の良さがわかるようになり、私の大切なレパートリーの一つとなり、その後アルバムに入れることにもなり、今では住んでしまいたいと思う程ロンドンと近しくなったような気もしますし。
A Nightingale Sang In BerkleySquareは冬から春への移り変わりのやさしいウキウキ感。ジンジャーやクローブのようなアロマの香りを漂よわせてくれるような....そんな曲です。
さて...
次回はトラック2 『Puttin' On The Ritz』(踊るリッツの夜)です。
どうぞお楽しみに♪
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