北海道、美瑛町

25歳の夏、ハーレーダビッドソンで駈け抜けたPVロケ地

 

 

2023年6月29日

久しぶりに訪れた穏やかな町で、その人は眠りについていた

MAGIC に「Rock’a Beat」という肩書きを授けてくれた人 亡くなられてちょうど10年だ

 

 

最後に会ったのは十数年前

青山通りから渋谷タワーレコードへと降りていく宮下公園の交差点

MAGIC 全メンバー脱退の報告を終えて出たピンクドラゴンを背にして、肩を落として歩く無力な自分の亡霊が今も彷徨う大嫌いな場所

文字通りキャットストリートのワールドエンド

楽園の終点、世界の終わり

 

いみじくもその交差点で再会してしまったその人は「タカシ、久しぶり。頑張ってるね。俺たちはもう仕事の関係じゃなく友達になったんだから気軽に会いに来るんだぞ」と言ってくださったけど、覚悟して出たキャットストリートを出入りするほど無邪気な男になれず、それを最後の再会にしてしまった

 

 

2023年、春

上澤津は MAGIC結成35周年のタイミングで制作したJAZZBILLYの1stアルバムに「Rock’a Beat」を踏襲した

ロカビリーの定義をぶち破って新しい音楽を追求しようとした結成当時のMAGICと、現在のJAZZBILLYは酷似している

だからもう一度あの場所から歩き始めたいと強く思った

 

 

そして 2023年7月22日

JAZZBIllYとしてリスタートするRock’a Beat Days

1回目のライブは勿論あの街から

 

2年前から決めていた会場「渋谷近未来会館」はMAGICのアルバムSpeed StarやRock’a Beat Cafeのブックレットを彷彿する香港テイストな色調のライブハウス

キャットストリートの東、春には美しい桜が咲く美竹公園のすぐそばにある

 

沖縄から飛行機を乗り継いで日本列島をまたいだ24時間だけの北海道は 上澤津の最後のバンドの船出を報告する大切な旅

あの交差点の再会から十数年

ワールドエンドを彷徨う亡霊を今こそ眠らせようと決断した時 その人に会いに行く真っ当な理由がやっと見つかったんだ

 

 

たった1枚のポラロイド写真の中に俺を見つけ

「コイツに会いたい」と言ってくれた人

 

その俺を呼び出して

「クリームソーダで歌わないか」と誘ってくれた人

 

幾千もの夜

朝が来るまで何杯もコーヒーを飲みながら

見果てぬ夢を語り明かした人

 

「今までで最も言うことを聞かない奴」と

呆れながらも歴代最多のリリースを支えてくれた人

 

そして絶望の場所

ワールドエンドで優しい言葉をかけてくれた人

 

ミスター・クリームソーダ

山﨑社長

ぜんぶ貴方でした

 

 

貴方と歩んだMAGIC

12年の歴史を上澤津は死ぬまで忘れません

そして貴方にインスパイアされた生き様は

JAZZBILLYで貫き通します

 

山崎さん

何もかも、ありがとうございました