ファラオ・サンダース イジフォ・ザム | jazz-funkな通勤の一枚

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JAZZ、FUNK、BLACK、大好きです。通勤時などに聴いたものをご紹介します。

おとといに聴いたウェルドン・アーヴィンの流れで、今日の通勤はコレです。

ファラオ・サンダースのイジフォ・ザム、1973年です。
あまりにベタですが、レーベルつながりです。
もはや悟りの領域にある、音楽を超えた世界の音楽をパッケージする、
ストラタ・イースト。

意外といえばそれまでですが、ファラオ・サンダースはストラタイーストからは、
このアルバム1枚しか出してないようですね。
ライナーの解説によると、もともとは1968年にインパルスからリリースする予定で録音したようです。

でも聴いてみると、インパルスよりもストラタEのほうがしっくりくる印象。
強烈個性、変態全開、内面丸出し、なぜかのシンクロ。

このアルバムはスピリチュアルジャズらしく、3曲の長尺で構成されています。
これが1つの組曲のようになっており、
1曲目が導入、2曲目で展開、3曲目でバックドロップ!
というような流れになっています。

1曲目のプリンス・オブ・ピースで全体の主題が提示されます。
うん、なかなかドス黒く、濃厚なスピリチュアル感。でも曲としての形がしっかりと見えています。

シャンシャンとラフに鳴る鈴の音と淡麗なピアノの音に幕開け、
ん~

とアフリカの大地で遠吠えしながら動物を寄せるような、
アフロ・ヨーデルとでも呼びたい不思議なヴォーカル。

その撒き餌に警戒しながら地平の遠くや近くの枯れ草の影から近づく小動物のような、
チャラチャラ チカココ カラカラ・・・
と土臭く鳴るネイティブ・パーカッション。

次第に哺乳類や爬虫類の大物が集まります、
リズムはドラムやベースを軸に、ピアノ、ギターも絡みはじめ、
一つのフレーズに収斂し、テーマを形成していきます。

2曲目のバランスで、大きくテーマが展開します。
地上でまとまっていたフレーズとリズムが熟したころに、
ファラオの「メインエンジン点火!!」
号泣ブロウで重力に逆らい始めます。
そこに助太刀するように、各メンバーが次々と「点火!!!」
音の推進力が束になり、次第に重力を超える推進力となり、地上から浮き上がります。
「人力精神力推進エンジン」が重力を超え、ファラオの尖った音を柱に轟音を立てて突き進みます。

そしてこの不揃いな枝の束のような太く尖った長円錐は、激しく大気と摩擦し、成層圏を超えていきます。

重力から解き放たれた瞬間!
「どかんっ!」と各プレイヤーが一気に拡散!!
開放された自由な音が粒子のように飛び回ります。
まさに「フリー!!」

3曲目ではA面の2曲を受けて拡散と収束を繰り返しながら進みます。
離合集散し、ぐっと全体でのグルーヴを求めたり、個の全開で轟音を拡散させたり。
自然に、流れを感じながら、個の意志が向きを揃えたり、距離を置いて走ってみたり。
まさに前2曲のまとめに入っていく28分。

メンバーは
ファラオ・サンダースsax
ソニー・フォーチュンas
ハワード・ジョンソンtuba
ロニー・リストン・スミスp
ソニー・シャーロックg
セシル・マクビーb
シローンb
ビリー・ハートds
マジード・シャバーズds
チーフ・ベイperc
ネット・ベティスperc
トニー・ワイリーperc
レオン・トーマスvo

うん、実力者とハードな個性派のミクスチャー。
濃厚なスピリチュアル・サウンドを爆音で全身に浴びながら、
爽やかな朝の通勤時間を過ごしました。