はい。 ”健康”という名の宝物を探して
大海原を漂流、大陸の各地を漫遊する
漂流記 / 漫遊記」。


今回も、世界のどこかで、あの人は
何と言った?


今回のお話は、アメリカ国立生物工学情報センターが
運営する学術文献の検索サイト”PubMed”から
ご紹介させていただきます。


また学術論文か! なんて言わないで、
まぁ、お座りください。
お菓子とお茶で、リラックスしてください。


健康に関心のある、あなただから、
ここへおいでくださったのですから。


こういう記事を読んだからといって、なにも
頭の中を、知識の洪水にしようって魂胆では
ございません。


言わんとしていることが、感覚的にでも
とらえることができれば、良いのです。


かく言う、この私も医学・医療の門外漢です。
こういうブログを、何故、私は書くのか?
それは、国内のみならず、海外の研究者の言葉にも
黙って耳を傾けてみよう、という意図・主旨からです。


そんなもの、わかるかい。
ではなく、わかっても、わからなくても、拒否しないで
まずは、受け入れてみましょう。


その後で、やっぱり、わからんかった
で、ええやないですか。



では、


食事性オメガ-6多価不飽和脂肪酸の慢性的供給による
ミトコンドリアのニトロ化(*)損傷および心機能不全の誘発

Induction of mitochondrial nitrative damage 
and cardiac dysfunction by chronic provision of 
dietary omega-6 polyunsaturated fatty acids



(*)ニトロ化
酸化、糖化、と同様、エイジングに影響するキーワード。
活性酸素に似た「活性窒素」がタンパク質と反応して
変性(ニトロ基が付加)する反応のこと。
ニトロ化したタンパク質は黄色く変化、肌も黄色くくすむ。




リンク https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17023268/


概要


肥満への意識の高まりは、オメガ6多価不飽和脂肪酸(オメガ6 PUFA)を含む
「心臓にやさしい」植物油への食生活の変化をもたらしました。
オメガ6 PUFAは、その有益な効果(*)に加えて、炎症誘発性および酸化促進性も示します。

(*)一般的に言われる有益な効果
1、コレステロール値を低下させる効果
2、アレルギー症状を改善させる効果
3、生活習慣病の予防に効果

4、認知機能低下の予防
但し、過剰摂取に要注意。


慢性的な食事のオメガ6 PUFAは、心臓のミトコンドリアを酸化的損傷の素因とする
フリーラジカル(*)の生成を誘発することが仮定されています。

(*)フリーラジカル
反応性の高い酸素分子のことで、
体内で脂質と結合して有害な過酸化脂質を作ることに関与している。


オスのウィスターラットに、オメガ6 PUFA(HP)(*)
または通常の実験用固形飼料(LP)が豊富な20%w/w(*)のヒマワリオイルを
補充した食餌を4週間与えました。

(*)HP
これについて話すと、ますます深みにはまるので、補足説明割愛。

(*)w/w
質量パーセント濃度,若しくは重量パーセント濃度という
濃度を表わす単位のこと。


HP摂食は、ホスホリパーゼA(2)(*)活性を増強し、
ミトコンドリアのリン脂質であるカルジオリピンの分解を促進します。

(*)ホスホリパーゼA
リン脂質グリセロール骨格の脂肪酸を切り出す酵素.

(*)カルジオリピン
ミトコンドリアに局在する酸性リン脂質。

補足: (一般の病院で)入院中に極端な肉食による糖質制限をすると
    まず栄養士さんがダメ!っていいます。
    なんで? 臓器中でリンを吐き出すから。


HP 心臓はまた、誘導型一酸化窒素 シンターゼ(Synthase)(*)発現の上昇、
Mnスーパーオキシドジスムターゼ(*)の喪失、
およびミトコンドリアのニトロチロシン(*)レベルの増加を示しました。

(*)シンターゼ
窒素酸化物である一酸化窒素の合成に関与する酵素。

(*)スーパーオキシドジスムターゼ
細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素。

(*)ニトロチロシン
二酸化窒素などの反応性窒素種によって媒介されるチロシンニトロ化の産物。

補足: 増えてほしくないものが増えて
    減ってほしくないものが減った
    それでニトロ化の産物が増えた。


・・・ 中略 ・・・


☞ 私たちの研究は初めて、オメガ6 PUFAが豊富な高脂肪食を
   わずか4週間摂取すると、ミトコンドリアのニトロソ化損傷を引き起こし、
   高負荷後に心機能障害を引き起こすことを示しています。



--- 以上。ここまで。


ミトコンドリアの話は、難しいですが、重要な話であります。
これだけは、細かいところで意見の違いはあっても
大局的には、洋の東西を問わず見解の一致するところのようです。


この話が難解な要因としては、これは「細胞学」あるいは
「細胞生物学」の領域なのです。
おおよそ、一般人には、なじみが無いような領域。


ここで私たちは、何を受け取れば良いのでしょうか?
それは「健康を指向するならば、ミトコンドリアの機能低下や損傷を
招くような脂肪摂取には、気をつけましょう
」ということでしょう。


2型糖尿病に置き換えた場合、せっかく糖質制限などで頑張っているのに
ミトコンドリアの機能低下や損傷を招いてしまっては、何にもならない

と言えますよね。


ミトコンドリアの話、脂肪/脂質の調査の旅は、まだまだ続きます。
三蔵法師ではないが、歩いて、遠い天竺に旅するようなものです。

なーんちゃって。



「n-6系脂肪酸(オメガ6)」を含む食品について

「n-6系脂肪酸」には、リノール酸アラキドン酸があります。

・リノール酸
  大豆油    100gあたり 50,000mg
  くるみ    100gあたり 41,000mg
  ごま油    100gあたり 41,000mg
  なたね油   100gあたり 19,000mg
  あまに油   100gあたり 14,000mg

・アラキドン酸
  卵黄     100gあたり 480mg
  豚レバー   100gあたり 370mg
  サバ     100gあたり 180mg
  うに     100gあたり 180mg
  ぶり     100gあたり 160mg

日本では、明治中期までは、料理に油を使う習慣がありませんでした。
また、動物(獣)の肉を食べる習慣も一般的にはありませんでした。

どうりで、たんぱく質/脂質摂取に魚を食していたわけだ。
山間部、田舎では、きれいな水をつかった豆腐(大豆)とか。
木綿豆腐は、1/3丁(100g)の脂肪は、4,200mg。
大豆油との差、大きいでしょう?


推奨摂取量

1992年に、欧州食品科学委員会(SCF)は、
1日の合計エネルギー摂取量の割合としての
多価不飽和脂肪酸(PUFA)の 参照摂取量 (PRI) を
設定しました。

女性 1日当たり約6グラム
1日当たり 5グラム (5,000mg) のオメガ6
1日当たり 1グラム (1,000mg) のオメガ3

男性 1日当たり訳8グラム
1日当たり 6.4グラム (6,400mg) のオメガ6
1日当たり 1.6グラム (1,800mg) のオメガ3


献立例
 

一般食(ごはんは適当に)

 
食材 分量 カロリー たんぱく質 脂質 炭水化物
ごはん 80g 134.00 2.00 0.24 29.68
さんま 80g 248.00 14.80 19.68 0.08
木綿豆腐 150g 108.00 9.90 6.30 2.40
インスタント
味噌汁
16g 21.00 1.31 0.59 2.59
ほうれんそう
おひたし
95g 26.00 3.47 0.33 3.06
合計 537.00 31.48 27.14 37.81

 

 

ローカーボ食

 
食材 分量 カロリー たんぱく質 脂質 炭水化物
伊藤ハム
糖質0
サラダチキン
1Pck
70g
86.00 11.30 4.50 0.20
さんま 80g 248.00 14.80 19.68 0.08
木綿豆腐 150g 108.00 9.90 6.30 2.40
インスタント
味噌汁
16g 21.00 1.31 0.59 2.59
ほうれんそう
おひたし
95g 26.00 3.47 0.33 3.06
合計 489.00 40.78 31.40 8.33

 

 

 


さて、休憩しましょう。

今回、お送りする曲は

Erik Satie : "Je Te Veux"
Guitare : Sébastien Llinares