私は昭和時代に生まれて育ちました。
昭和時代は製造業が忙しかった時代。
何しろ「作れば売れる」。
神戸市長田区の下町で子供時代を過ごしました。
なんだか工場に囲まれて暮らしているような感じだったことを思い出します。

当時の親たちは子供に「手に職(技術)をつける(覚えさせる)」ことこそが教育でした。
「手に職をつけとけば食べていくには困らない」。
なので生産技術・加工技術こそが「技術」扱いされた時代でもあったのです。
家(実は長屋)の周りの工場を見て「大人になったら、どの工場に働きに行くのかなぁ」なんて思っていました。
設計を除くと目に見えない、どちらかといえば「ソフト(ソフトウェア的)なこと」を技術とは考えられない時代でもあったのです。


私は学校を卒業してからコンピュータープログラミングの仕事に就いたが入社したころは、どうにもピンと来なくて
胸ポケットに「退職届」を持ち歩きながら会社へ行っていました。
そんな私が何故か、この仕事を41年間続けてしまったのです。
続いたなんてもんじゃない、続けてしまったが正しい。振り返ってみて特に後悔はしていません。
ただ定年後はコンピューターは純粋に自分の楽しみのためだけに使おうと決めていました。
こんなもので2度と金を儲けるようなことは止めようと・・・


そんなこんなで定年を迎え、さらに1年延長して61歳まで、この仕事をしてました。
その後介護の学校に6か月通って62歳で介護ヘルパー資格(2級・1級)を取得して現在に至っています。


実際に介護の仕事をやってみると「ただただ忙しく動いている」だけで”利用者さんの気持ちを思っているゆとり”さえありませんでした。
そんな中で稀に「さりげなく傾聴(*)をする」女性職員さんを見て心の中で驚いたものでした。
某有名人(ホリエモンだっけ?)がネット上で「介護なんてだれでもできる」とか「介護の仕事は非生産的」とか発言して炎上していました。

*傾聴
相手の気持ちに寄り添い、相手の心の声に耳を傾ける・・非常に特殊なスキルのこと。

私は思いました。この人は私より若い世代の人なのに「生産性」を言うか? と・・・
改めて「生産性」だけが仕事かいな?


それぞれの人生観・価値観を持った人の集まりが「この世」です。
人の口に蓋をしてまで自分の言いたいことを主張するのではなく、心の声を聴く(聞くではない)対話術は心理的な問題を解決します。
傾聴では相手を判断してはいけません。○や×をつけてはいけません。
ただただ相手の言葉を聴いて、相手の心のノーマライゼーションを指向していくのです。
決してナメタものではありません。
少なくとも今の私にはできなのであります。


近年では「オープンダイアローグ(*)」という対話法もあります。

*オープンダイアローグ
フィンランドの西ラップランド地方に位置するケロプダス病院のファミリー・セラピストを中心に、1980年代から実践されている対話法。
統合失調症(昔の精神分裂と同義)に対する治療的介入の手法として使われたのが始まり。
今では精神医療のみならず、一般企業や介護の世界からも注目されている。


いまは目に見えない心の問題を解決することも非常に大切な能力として扱われる時代です。
日頃はバタバタと忙しい介護の業界ですが、今一度立ち止まって「傾聴 Active Listening Communication Skill」や「オープンダイアローグ Open dialogue」について考え実践したいものです。
なぜなら「心の問題の解決」には終りが無いからです。
終りの無い問題解決に怯むことなく、勇敢にチャレンジするタフな心を持って介護の仕事に取り組んでみましょうよ。


私もアマゾンでこの本を買い求めました。
「対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得 」




参考文献

 

オープンダイアローグにおける対話実践の基本要素
-よき実践のための基準- 
https://www.umassmed.edu/globalassets/psychiatry/open-dialogue/japanese-translation.pdf

オープンダイアローグ 対話実践のガイドライン
https://www.opendialogue.jp/app/download/13255043392/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0%E5%AF%BE%E8%A9%B1%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E3%81%AE%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E7%89%88%28%E7%AC%AC1%E7%89%88%29.pdf?t=1533741037

「 傾聴・共感マニュアル 」
~看護職ができる自殺予防~ 
https://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/welfare/keichou-kyoukanmanual.pdf

帰宅願望場面における認知症ケアの考え方
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/228/s_h25kaigokaisetsu_04.pdf

特別養護老人ホームにおける 看取り介護ガイドライン
https://www.mri.co.jp/knowledge/pjt_related/roujinhoken/dia6ou00000204mw-att/HLUkouseih18_3.pdf
 





では今回お届けする動画は

Ralph Towner Quartet, Live - Molde 1978