昨日(5/29)、手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の記念イベント・贈呈式に行って来ました。今回でちょうど20回なので、それを祝してという事らしいです。たまたま、手塚ファンクラブの会誌に参加者募集の紙が同封されていたので申し込みました。

最初が、前半の記念イベントです。

第一部が、浦沢直樹氏と糸井重里氏の「漫画家としての仕事~線描ということば」と題した対談でした。
詳しくは、朝日新聞社から刊行されている雑誌アエラに掲載されるらしいです。糸井さんが上手に、浦沢先生の漫画家としてのエッセンスを引き出されていたように思います。テレビなどでも実演されていたと思いますが、浦沢先生が対談の中で話題となった作品の絵について、その場でさらさらと事例を描いて説明されていました。その達者なことに感心しました。「あしたのジョーが2巻までしか買えず、3巻以降を自分で描こうとした。」、「まだ、ビデオなどがなかった時代にアニメ「巨人の星」を真剣に観た後、すぐにその絵をかきまくった。」「アニメを見て、制作スタッフのチームを見分けた。」などなど、本当に熱っぽく話される浦沢先生を見て、「やっぱり、すごい人は違うな」と思いました。

第二部が、西原恵理子氏としりあがり寿氏の「画力対決七番勝負 ふたりとも、10年経って絵は上手くなりましたか?」という企画。
実は、過去に手塚治虫文化賞を受賞されていて、毎日新聞、読売新聞(どういうわけか、朝日ではない。)に連載もされている大家のお二人が、なんと与えられたお題についてイラストを描き上手さを競うというものです。過去の手塚治虫文化賞受賞作や手塚先生のブラックジャックなどを、ご自分のタッチで描かれるのですが、意表をつかれるあっと驚く絵が現われるので、会場はとても盛り上がり沸いていました。「へたうま」というと失礼ですが、お二人とも線はとても達者だったと思います。

続いて、いよいよ贈呈式です。受賞作は、

マンガ大賞 「鼻紙写楽」 一ノ関圭
        「よつばと」あずまきよひこ
新生賞    「町田くんの世界」安藤ゆき
短編賞   「じみへん」中崎タツヤ
特別賞  京都マンガミュージアム

マンガ関連の受賞式を観たのは、はじめてなんですが、「淡々とトロフィーとか賞状、副賞の目録などを渡して簡単な祝辞でおわり」となるかと思っていました。ところが、登壇する個性的なみなさんが、興味深い話をされるので、大変面白かったです。
特に、選考委員を代表として、あさのあつこさんが、選考の経緯を話されましたが、ひとつひとつの作品について、「どうして賞をあげたかったか?」について、想いをこめながら熱く語られたのを聞いて、思わず感動してしまいました。
それと、生で一ノ関圭さんのご尊顔を拝することができたのは、とても良かったです。「らんぷの下」「裸のお百」以来、気になっていた作家でしたが、とても寡作で、「よく創作活動が続くな」と思っていました。受賞の後のスピーチによると、一人で描かれているとのこと。(アシスタントなしでしょうか?)今回の受賞に対して、大いに賛意を表したいと思いました。

今回のイベント・贈呈式を観た後、「マンガもまだまだ捨てたもんじゃないな」という感想を持ちました。(えらそうで、すいません。)実は、私は手塚先生亡き後、いくつかの気になる作品以外は、ほとんどマンガを読んでいませんでした。でも、手塚先生が天国に行かれてから、もう27年くらい経っており、その間も脈々と作品が発表されていたのですね。今回のイベントで、マンガについて本当に真剣に語られているのを聞いて、なぜか、目頭が熱くなってしまいました。琴線にふれて感動したんでしょうね。これからは、また少しずつマンガに触れていこうと思います。