学生の頃よく演奏していたのはディープパープルで、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「ハイウェースター」などは何回やったかわからないほどです。アルバムの録音だけでなく、ライブのコピーもずいぶんやりました。
私のパートはキーボードでしたが、たった1台のコンボオルガンだけで旋律だけなぞっていたため、とても薄っぺらな音で、ディープパープルのキーボード奏者ジョンロードのかっこ良いオリジナル演奏とは似ても似つかないものでした。このため、聴くたびにとても恥ずかしいので、昔のバンドの録音は、まったく聴いていませんでした。
ところで、一本だけ今聴くとなかなかいい音のカセットテープがありました。当時は、一台のキーボードでできるだけ色々な音色を出すために、わざと音を歪ませたり、バイブレーション効果をかけたりしてたんですが、このテープの音だけは細かい音色の違いが表現できていて、何故か結構かっこ良く聞こえるのです。他のテープの音は、とてもノイジーで、うるさいだけで今イチです。
そこで思い出しました。
このテープはとあるホールを借りてコンサートらしきものをやった時の録音ですが、この時だけは知り合いのプロの演奏家に紹介してもらい、プロ仕様のアンプを借りて、さらに専用のミキサーもお願いしライブで音のバランス調整をした時のものだったんです。アンプの容量が大きくて性能も良いため、本来の楽器の音が出力されていたんだと思います。また、通常は自分の楽器の音だけは聞こえるように、みんなバカでかい音を出していたのが、通常はボーカルの声がよく通り、ソロの時だけそれぞれのパートの音のレベルが大きくなりソロパートが終わると、バックにもどるようミキサーで調整していたのです。当たり前の事ですが、音楽では、道具はとても大事なんですね。
そういえば、何年か前に久々に昔のバンド仲間が集まり演奏したのですが、ミスタッチはあるものの、演っている本人達が意外に思ったほど、かっこ良い音が出ていたのを思い出しました。たぶん、スタジオの機材の性能が昔のものより格段に良くなっていたのと、楽器も良くなってるからなんですね。