私の息子は、まだ小学4年生だが結構勉強している。というよりいろいろな理由で勉強せざるを得ないと言ったほうがいいかもしれない。彼の小学校は大半が中学受験するというところで、同学年の子供達の大部分が塾に行っているそうだ。このため、私の息子は一緒に遊ぶ友達がとても少なくなり、遊べても塾や習い事がない日時限定で、互いにスケジュールを調整してアポを取り合いようやく遊ぶことができるという状況である。
 
私のところは、まだ塾に行っていないが、そのかわり難しいテキストを使い妻が教えている。とても難しいので、妻は子供が学校に行くとその日教える問題を予習している。それもそろそろ限界だろう、これからどうするかが我が家の大問題だ。勉強、勉強で他に何かする余裕がなくせっかく習っていたピアノや水泳教室などを全部やめてようやく中学受験が終わった知人の娘さんの話だが、やっと勉強から解放されたのに「ママ、何をやればいいの?」と呆然となり、結局また塾に通い始めたという。どんな大人になるのかな?少しこわい気がする。
 
最近思うところがあって、息子に「丸出だめ夫」(森田拳)を読ませてみた。秋田書店のサンデーコミックス版である。ある年代の方はご存じかと思うが、丸出だめ夫は、少年マガジンに連載されていた人気漫画である。
一生懸命勉強しても0点ばかりだが、明るくけなげなだめ夫少年。それを応援する父。手に持った紙で筆談する元祖ホームロボットのボロット。オールドファンにはとても懐かしい漫画である。
 
テストの点数が悪いから「だめ」なのだろうか?運動もうまくないから「だめ」なんだろうか?
だめ夫少年は、時々悩む。そして、前向きにがんぱる。スポ根の主人公みたいにものすごくではなく、がんばれるだけがんばる。そして、眠くなったら眠る。家族はだめ夫少年をそっと見守っている。そして、だめ夫少年がすこしでも前進したら、みんなで喜ぶ。時にはクラス全員で喜ぶ。自己最高点だったテストの答案を額に入れて大事に飾っている。大人になっただめ夫は、人にやさしい大人になることだろう。
 
45年以上前の漫画だが、テストの点数を気にすることは、今も似たようなものかもしれない。 でも何かが違う。今より社会全体がスローで自己を見失わない心地よさがあったように思う。真面目でなんとなく可笑しく、少し寂しげなスローな漫画。このタイプの漫画は今あるだろうか?
 
何かを感じて欲しくてこの漫画を読ませたが、さあ、私の息子の心にはどう響いただろうか?