上野の東京国立博物館で開催されていた「手塚治虫のブッダ展」が先週末で終了しました。その直前でしたが、
少しだけ空いた時間ができたので、ようやく観に行けました。
 
手塚先生は、ブッダが遺したさまざまなエピソードを誕生から涅槃まで通して長編作品「プッダ」で描かれました。この展覧会は、ブッダの各シーンの原稿とそれに対応した国内に所蔵されているブッダ関係資料(主に彫刻などの立体物)を併行に展示したものです。
 
1990年に国立近代美術館で大規模な手塚治虫展が開催されましたが、美術館よりお堅いイメージの国立の「博物館」に手塚先生の原稿が大量に展示されるのははじめてだと思います。私は個人的に仏教美術が大好きで博物館にもよく行っていますが、国立博物館で漫画の原稿が展示されたことに驚きました。
 
さて、今回の展覧会を観た感想ですが。。正直少し無理があったように感じてしまいました。
 
手塚先生の原稿を直接観ることができたことは良いのですが、展示されているのは仏陀の生涯のエピソードの一部分を紹介するために一番近いシーンを並べたもので、「ブッダ」というオリジナル作品を十分理解するにはちょっと不十分だったと思います。
 
一方、併行して展示されていたガンダーラ仏などの仏教資料のラインナップは小品が多く目玉展示もなく、たぶん古美術ファンが観るとちょっと物足らなかったかもしれません。
 
要するに、どっちつかずになってしまったかもしれません。全部否定するわけではありませんが、もう少し企画を練った方が良かった気がしました。
 
ちょっと厳しい感想を書いてしまいましたが、今回、国立博物館が漫画を採りあげたという実績は大変貴重な一里塚だと思います。漫画は日本が誇る素晴らしい文化ということが少しは浸透したのかなと嬉しく思います。
 
麻生政権の時、マンガ、アニメなども対象とした国立メディア総合センターの設立企画が持ち上がり論議を呼びましたが、結局現政権で撤回されました。必ずしも新しい箱モノを作らなくてもできることがあると思います。今回のように着実に実績を築きながらしっかり構想を練っていただきたいと思います。