
最近近くにある市立図書館によく立ち寄る。もともとは息子に毎晩読んであげる絵本を仕入れることが目的だったのだが、置いてある本はいずれも面白そうなものばかりで自分も時々借りるようになった。
それまで読みたい本は自分で購入して読んだら本棚に置いておくというのが、私のやり方だったが、人生の半分以上が経過し、自分の持ち物が際限なく増え続けることをためらう気持ちが強くなって、物を増やす事に少し臆病になった事も要因だったかもしれない。
長い前置きだったが、小学館で長い間赤塚不二夫先生の担当をされていた武居氏が書かれた「赤塚不二夫のことを書いたのだ!!」(文芸春秋社刊 )を借りて読んだ。とても面白いので一気に読んだ。そして感動した。出版されたのは2005年で赤塚先生がまだご存命(眠り続けていたが。。)の頃の本だ。今頃と!言われる,かもしれないが、ようやく読んだ。
小説も書かれていたという武居氏のこの本は、赤塚番として過ごした時のいろいろなエピソードを中心に、その周辺のマンガ業界、その当時の世相も絡めた一大叙事詩のように感じられる。作品の生い立ちは、周りの状況や時代と何らかの関連があり言ってみればその時代の産物とも思えることが多い。赤塚作品もその例外ではなく、いろいろな因縁が絡まってあのようなギャグの世界が生まれたということが私なりに理解できた。リアルタイムで読んでいた時、感じていた何とも言えないモヤモヤが晴れた気がした。
武居氏ご自身が赤塚作品創作における重要なファクターだったようだが、淡々と(もしかしたら極力ご自分の色が出ないように)慎重に赤塚不二夫という不世出の漫画家の事を書いている。私にはかえって真実のすごさを感じてしまう。
最近昭和の漫画家の回顧録を色々読んでいるが、いずれも面白い。そして皆さん人格がすごい!
PS.
赤塚先生はとても美空ひばりさんが好きだったんですね。一方、手塚先生は、あまりひばりさんが好きでなかったという証言があります。昭和のメモリー記念切手では、手塚先生とひばりさんの切手が同時に出ましたけど。。