
福元さんと手塚先生は昭和20年代のまだアシストタント制度がなかった頃からのお付き合いで、単にアシスタントという概念を超えた存在だったのではと思います。とにかく超人的な手塚先生の仕事ぶりを今に伝える生き証人です。
講談社の手塚全集の表紙の額縁のデザインは福元さんが描かれたとのこと。これ以外でも今まで私達が見ていた手塚作品の多くの部分に副元さんが加わっていたようなので、手塚先生の影武者、分身、いや一部といっても過言でないかもしれませんね。
貴重な本です。ぜひみなさまご一読ください。
実は、個人的には、私も福元さんと小さな接点があります。
私は、昭和49年(たぶん)頃、富士見台の駅近くにあった手塚プロに押しかけたことがありました。いきなり行って、扉をコンコンとたたくと若い編集者が出てきたので、「私は手塚先生のファンなんですけど。。」としどろもどろで言うと、彼は一度奥に行って別な人を呼んできました。その人が当時チーフアシスタント(ですよね。)を勤められていた福元さんだったのです。福元さんは、私をじっと見るとしばらくして「先生に話しかけないなら、ちょっとだけ仕事場を見ていいよ。」と言ってくれたのです。
本に手塚先生の仕事場のイラストが掲載されていますが、まさに、あの部屋でした。あの時代、手塚先生もアシスタントと同じ部屋で仕事をされていたのです。
幸運なことに珍しく仕事が修羅場でなかったのでしょう。手塚先生もちゃんといらっしゃって伝説の猛スピートでマンガを描いていました!別なところで書きましたが、その時禁を破って結局先生にちょっとだけ声をかけてしまいました。(福元さん、すいませんでした。。)
あの時、福元さんに中に入れていただいた事は、本当に一生の思い出です。あらためて、感謝いたします。福元さん、ありがとうございました。