
私が読んだ本:絵:吉田竜夫、原作:梶原一騎「ハリス無段」全3巻
(サンデーコミックス、秋田書店)
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黒い柔道着、白い帯で講道館柔道に挑戦するため上京してきた風巻竜は、ハリス博士とともに
ハリス流柔道を立ち上げるが、元来の正義感から講道館に挑戦して来る古武術の達人、海外の
強敵などと闘いつづけ、しだいに日本柔道の守護者的立場となる。ハリス流スクリュー落とし、
五輪回転投げなど必殺技もあみだしはてしない闘いを続け行く。
タイトルにつけられた「ハリス」は、ハリスガムを販売していたカネボウがスポンサーとしてタイアップしていたためで、連載されていた少年マガジンには毎号ハリスガムの広告が掲載されていた。ちなみに、ちばてつや「ハリスの旋風」もカネボウ提供でアニメ化されている。カネボウがスポンサーとなり吉田竜夫原作で竜の子プロでアニメ化された宇宙エースでもガムのようなものを食べると強く少年ヒーローが登場する。
梶原一騎と吉田竜夫は、「チャンピオン太」でもペアを組んでいた、ハリス無段は、梶原一騎原作作品としては、初期のものだが、次々現われるライバル、山ごもり特訓などであみだした必殺わざ、ストーリーの合間につづられる人情話など梶原作品のエッサセンスはすでに確立されている。
子供は誰が原作だろうと中身が面白いことがすべてである。子供にとって梶原作品は本格的な格闘技が描かれている最初のものだったように感じていたと思う。それまでも、柔道漫画はあったが、人情話的要素が強く格闘技そのものは、ちゃんと描かれていなかったように思われた。
秋田書店のサンデーコミックスは、必ずしも連載された順番に単行本としていない場合が多い。話しが不自然なところもあるので、この本もたぶんそうだったと思われる。主人公は「無段」だが、確かあまりに強いので自分は「100段」と自称するライバルなどもいたと思うが、この本ではカットされているようである。「100段」が出て来るなんて、いかにも少年マンガらしい“やんちゃさ”である。
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今でも読める本:漫画:吉田竜夫、原作:梶原一騎「ハリス無段」上、中、下(マンガショップ)
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