

アトムで良く指摘されるのが、ツノの形です。現在は、頭の左右に少しづれて配置されていますが、もともとは、手塚先生の髪がくせ毛で、シャンプー後に耳の上で立つのがモデルといわれています。最初は、いろんなのがありました。
アトムの立体アイテムで最古のものといわれているのが、連載されていた月刊誌「少年」の景品で頭が鉛で体がセルロイド製の首振り人形です。
この人形では、左右対称で頭の上にツノが配置されていました。額上部の髪の生え際が、三角になっているのは、現在でも同じです。この三角は、アメリカのマンガで、アトムに影響を与えたといわれているマイティ・マウスに由来している可能性もあるようです。少年の景品は、後にソフビの首振りになって、大小2種類が配られました。小さい人形では、頭のてっぺんにひとつ、後頭部のまんなかにひとつという配置で、正面から見ると、ツノが一本だけに見えます。これは、コウモリ伯爵の巻(原題:ミイラ伯爵の巻)に登場したツノが一本で、ポケットサイズのミニ・アトムのイメージもあったかもしれません。
版権がないグッズでは、ツノが3本のアトムもあります。作った職人さんは、一応、原作を尊重しているとは思いますが、わからなかったのかもしれませんね。手塚マンガでのアトムの描かれ方は、アニメ化の前後で大分変わったと思いますが、おもちゃでも同様です。アニメ以後、大量のキャラクター商品が出回ってからは、一定の解釈でイメージが作られるようになりました。手塚先生亡き後は、デザイン化していくんですが・・・。
私は、現在のアトムグッズの顔と昔のアトムグッズは、なんだかわからないけど違うと感じるのですが、その理由の一つは、アトムのほっぺたが赤いかどうかというがあると思います。例えば、大和銀行の貯金箱では、くっきりと両方のほっぺに紅がさされています。この頃の子供用にお人形では、たいていほっぺたに紅がさされていました。
当時の子供は、しもやけなんかで、ほっぺたが赤い子が多かったからでしょう。他のキャラでも、しばらくは、このほっぺたに紅という様式が守られていました。今のアトムは、たいてい赤くないし、かわいいけど、童顔ではなくなっている気がします。今や、アトムは、子供だけでなく、大人も対象に商品として開発されていますが、昔は、あくまで、子供のものだったんです。良い、悪いということではなく、商品としてのアトムのイメージが、今の時代を反映しているのかもしれません。
アトムの顔が、無味乾燥になったらどうしよう!と考えてしまいます。
(2001.4.28作成)